葬式や告別式で棺の奥に飾られている祭壇。
たくさん種類のある祭壇の中から、どのような基準で選べば良いのでしょうか。
祭壇には、ただ飾られているもの、というイメージをお持ちの方もいらっしゃると思います。しかし、祭壇はただキレイなものを飾っているだけではなく、しっかりとした伝統やしきたりの中で選ばれているのです。
そしてその祭壇の選び方も、時代とともに変わってきています。今回は祭壇を選ぶ基準や値段の相場、祭壇の種類やどういったものがいいのかをご説明していこうと思います。
知っておきたい!祭壇の種類とは
葬式になくてはならない祭壇には、実は種類があることをご存知でしょうか。
大きく分けて祭壇は、「白木祭壇」と「花祭壇」の2種類に分けられます。昔から一般的に使われているのは白木祭壇でしたが、最近では花祭壇の需要も高まっています。
その2種類にはどんな違いがあるのでしょうか。詳しくみていきたいと思います。
●「白木祭壇」とは?
白木祭壇は、戦後に作られた伝統的な祭壇です。戦前での日本は土葬が主で、白木で造られたお棺に柩をいれて輿として墓場まで運びそのまま墓穴に入れる野辺送り(のべおくり)という風習がありました。それが今形を変えて祭壇として残されています。そのため、白木祭壇の上には実際に棺を入れることができる本輿といわれる大きなものもあります。
●「花祭壇」とは?
花祭壇は宗教などの違いに関係なく使えることからも人気が高まっている祭壇で、祭壇自体を生のお花で飾っていくものです。昔と今で特に変化が大きいのがこの花祭壇です。
生花を使用して祭壇全体を飾ることが一般的な為、白木祭壇に比べて金額が高いことが多くなっています。しかし、近年は昔に比べてお花自体を安価に、かつ質の良いものを手に入ることや、葬儀会社の工夫によって以前より料金が安くできるようになってきました。
また、最近ではお花自体のバリエーションが増えていて、白色しか使えないイメージだったお葬式ですが、ピンクや紫など故人に合わせた色のお花を使うこともできます。
宗教による祭壇の違いとは?
宗教によってお葬式の形式は大きく異なりますが、それは祭壇に関しても同じです。では、宗教によって祭壇の選び方はどのように異なってくるのでしょうか。
「仏式」
日本のお葬式では8~9割ほどがこの仏教式で行われています。しかし、13宗56派にわかれている為、時と場合によっては祭壇の配置が変わってくる事もあります。一番スタンダードなスタイルは、白木の八足祭壇を使用し、飾り付けていくものです。主に白いお花で飾り付けをした花祭壇も人気があります。
僧侶が読経するために祭壇の前の教机を置きます。
「神道」
神式では祭壇は白木の八足祭壇を使用します。鏡、刀、勾玉の三種の神器のレプリカを飾ります。
祭壇中央に鏡と霊璽を置き、祭壇の脇に刀と勾玉を五色旗とともに吊るして飾ります。また、告別式に当たる葬場際では、灯明、榊、供え物、遺影を必要な位置に置きます。
棺は祭壇の奥に置かれることが多いですが、場合によっては前に置かれることもあります。姓名と諡(おくり名)が書かれた銘旗を立てます。
「キリスト教」
キリスト教はカトリックとプロテスタントによって葬儀の内容も違ってきます。しかし、祭壇はどちらも花祭壇を使用します。また、教会で行われるので、祭壇もその教会によって厳密に決められています。お花の位置や棺の向きなども厳密に決められていて、教会によって変わってきます。
キリスト教は天に召されることを神様の御許にいるとして祝福の儀として行われます。祭壇を飾るお花は白ユリが主ですが、バラやカスミソウやストックや菊といった花を使います。基本的には白色が基調ですが、場合によっては色を使ったお花で飾ることもあります。
祭壇の中央にはお花で作った十字が飾られその周りをカーネーションなどで飾ります。
祭壇はプランには含まれていないもの?祭壇の相場
祭壇自体は、プランの中に盛り込まれているものと、一つずつ値段を決めていく方法があります。
一番お手軽なものはやはりプランの中に盛り込まれているものから、祭壇のランクを選んでいく方法です。大体のプランは祭壇のランクが中間になっているので、簡単に値段を上げることもできますし、下げることもできます。安いものを選べばプランから値段が引かれますし、祭壇の値段を上げればもちろんプランの値段が高くなるオプション制にすることもできます。
最大で基本のプランから20万円ほど安くなる祭壇や、160万円ほど高くなる祭壇もあるなど、葬儀社によって幅広い種類があります。
また、プランによっても大きさが変わってきます。
例えば一日葬や家族葬といった参列者の人数を少なく設定している場合は、当然式場も小さくなります。そのため祭壇自体の大きさも一般葬に比べて小さめになります。すると必然的に値段も安くなってきます。
一般葬などの場合、人数や式場によってはランクを上げて大きな祭壇にしたほうが良い事もあります。大きな会場に小さな祭壇ですと見劣りしてしまう可能性がある為です。花祭壇は、安いものだと造花を使用している場合もありますので、葬儀社に確認してみてくださいね。
祭壇の選び方
祭壇を選ぶときに大切な事は、故人らしさと会場との大きさを考慮に入れておく、という事です。祭壇はプランに入っている事が多いので、基本的にはそこから選ぶのが良いでしょう。
今では白木祭壇を使ったものより、お花を使った花祭壇のほうが主流にもなってきていて大多数の方が花祭壇を選ぶ時代になりました。
花祭壇では生のお花を使うので綺麗な印象を与えます。故人を見送るお花が沢山あるという意味でも良いですよね。また、故人が好きだった色や花を入れられるオプションがつけられる場合もありますので、葬儀会社に相談してみて下さい。
祭壇の選び方のまとめ
今回は祭壇の選び方についてお伝えしてきました。
祭壇の選び方は、宗教の違いはもちろんのこと、予算などによっても異なってきます。そして残された親族の方にとっても、予算によって選ぶ場合などでは悩むことも多いようです。
ご遺族に迷惑をかけたくないという方は、終活の一環としてエンディングノートで事前に葬儀の形を決めておくことをおすすめします。その中で、事前に相談をして葬儀会社を選んでおくのも良いでしょう。
事前相談の中でお葬式の内容を決める場合、自分が好きな祭壇を選ぶことができますし、通常だと入れられないお花を入れることができます。
最初は事前予約や事前相談なんて気が引ける、と思われていた方も、エンディングノートなどの存在を知り葬儀に対して興味が出てくる、という方も増えてきています。
突然の出来事で慌てて葬儀社の言うとおりに決めてしまい後悔が残ってしまうよりは、自分に合ったものや故人が喜ぶ祭壇を選んで送ってあげたいと思いますよね。
金額や規模にあった大きさと、故人の好きなもので作られた祭壇を選ぶ事がとても大切だと思っています。