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葬儀を行うまでの手順を分かりやすく解説
近親者が亡くなると、悲しみも束の間、葬儀に向けてさまざまな準備や手配に追われることになります。「誰が」「どこに」「どのような連絡や手配をするのか」、「何を」「どのように準備するのか」といったことを一両日中に決めて、滞りなく進めていかなくてはなりません。
しかし初めて葬儀を行う場合には、何から手をつけたら良いのか頭が真っ白になってしまいそうですよね。そこで今回は、近親者が亡くなったときから始まる葬儀のためのさまざまな準備と、葬儀後に行う事柄について詳しく解説していきます。初めての葬儀でも戸惑うことなくスムーズに進められるよう、本記事でしっかり手順を覚えていってください。
葬儀を執り行う手順は?
故人が亡くなってから「葬儀」を終えるまでの日数は、通常3~4日ほどです。葬儀のさまざまな事柄を慌ただしい時間の中でこなすことになりますので、「ポイントを押さえて効率良く行うこと」が大切です。
では、「何を」「どのように」行っていけば良いのか、ここでは一般的な仏式の葬儀のケースで、手順を詳しく見ていきましょう。
家族への連絡・葬儀社の手配
まず、近親者が亡くなったら「近しい親族に連絡」をします。このとき「親族に連絡する係」「親しい友人や仕事関係の人に連絡する係」など家族で役割を分担して行うと、連絡もれを防げるのでおすすめです。親しい友人や仕事関係の人への連絡は、通夜・葬儀の日程が決まってからでも構いません。
また、このときに喪主も決めて、「葬儀社の手配」などの葬儀全般を取り仕切ることに関連することは喪主が行うようにすると、その後の葬儀社との打ち合わせの際にも混乱することなく、スムーズに進めることができるでしょう。
ご遺体の搬送・安置
搬送と安置は、どこで亡くなられたか、どこで葬儀を行うかによっても少し異なりますが、病院で亡くなられた場合は、一旦、病院の霊安室に安置されることになります。
亡くなられた時間にもよりますが、当日または翌日にはご遺体の引き取りをし、自宅に搬送・安置します。この搬送と安置は、葬儀社にお願いできることがほとんどですが、葬儀社の手配をするとき念のために、搬送・安置をお願いできるか確認しましょう。
通夜・葬儀を執り行う場所が自宅ではなく斎場などになる場合は、斎場の安置室でご遺体を預かってもらうか、斎場に安置室がない場合は葬儀社に相談をして、安置してもらえる場所を紹介してもらうことも選択肢の一つとなります。
葬儀の打ち合わせ
葬儀社の方々が搬送・安置をしてくれている間に、遺族側は火葬場の手配をしましょう。近年では火葬場不足により予約が取りづらくなっている場合もあるので、まずは自宅のエリアにある火葬場に連絡をし、「火葬の日時を決めること」が先決です。
それをもとに葬儀社と打ち合わせをして、「通夜・告別式の日取り」や「葬儀を行う場所」、「葬儀の規模や様式」といった葬儀の具体的な内容を決めていきます。また、これと平行して僧侶の手配をすることも必要です。
湯灌
「湯灌(ゆかん)」は、故人の体を洗って清める儀式です。ご遺体を納棺する前に湯灌をすることで、ご遺体を衛生的に保つ目的と、現世での悩みや煩悩なども洗い流して無事に成仏できるようにと願う宗教的な意味合いがあります。
現代では病院で亡くなることが多く、その場合は病院でご遺体をきれいに処置してくれるので、湯灌を行うことは必ずしも必要ではありません。ご自宅で亡くなるなど、ご遺体を清める必要がある場合もありますが、湯灌を行うかどうかは、そのときの状況によって家族と葬儀社で相談して決めてかまいません。
納棺
ご遺体を自宅や斎場に安置してから通夜が行われるまでに、ご遺体を棺(ひつぎ)に納めます。これを「納棺(のうかん)」といいます。納棺する前には、着ていた衣服を死装束(しにしょうぞく)などに着替えさせ、お化粧などで身なりを整えます。故人があの世に旅立つための準備をするのです。
そして「末期の水(まつごの水)」といって故人の口元に水を含ませ、喉の渇きを潤す儀式を行い、家族で故人を偲ぶ時間を過ごした後、ご遺体を棺に納めていきます。
通夜式
「通夜式(つやしき)」は、基本的には故人が「亡くなった翌日の夜」に行います。元来「お通夜」は、故人と最後の夜を過ごすために近親者が集まって、夜通し故人のそばに付き添うことから「通夜」と呼ばれるようになりました。しかし現代では、近親者だけでなく友人や仕事関係の方々も参列して、僧侶による読経や参列者の焼香などが行われる「通夜式」を執り行うことが一般的となっています。
式の後には弔問客をもてなすために料理を振る舞う「通夜振る舞い」が行われる地域もありますが、通夜振る舞いの代わりに弔問客に「折り詰めなどの品」を渡すケースも見られます。
しかし近年では、葬儀を簡略化する傾向もあって、「通夜式」を省略して「葬儀」だけを営む「一日葬」が検討されることも多くなってきているようです。
葬儀・告別式
「葬儀・告別式」は、基本的には「通夜」の「翌日の昼間」に行います。ただし「通夜」の翌日が「友引」であったり、火葬場の都合などといった理由で、「葬儀」の日にちをずらすこともあります。
「葬儀」は、遺族や友人・知人が故人の冥福を祈り、死者を葬るための儀式です。一般的な仏式の葬儀では、僧侶による読経や焼香が行われます。
「告別式」は、故人と最期のお別れをする式典です。現代では「葬儀」からの流れで、焼香や花向けが故人と別れを告げることとして、「葬儀」と明確な区切りはなく「葬儀・告別式」として行われることが多くなっています。
火葬
「火葬」は、葬儀・告別式の後、参列者で「出棺」を見届けて、ご遺体は火葬場へと運ばれて火葬される「後火葬」が一般的です。しかし地域によっては、ご自宅から出棺し、火葬場で火葬されてから式場に運ばれて葬儀が行われる「前火葬」の場合もあります。
「後火葬」か「前火葬」かは、古くからの慣習にもよりますし、「火葬場」や「葬儀」の日程の都合で葬儀がすぐに行われない場合や、事故でなくなった場合などでご遺体の保存状態を保てない場合には「葬儀の前に火葬する」といった対応がされるケースもあるようです。
初七日
「初七日(しょなぬか)」は、亡くなった日を含めて7日目に、故人が三途の川を無事に渡れるようにと行われる「法要」で、本来であれば7日目に行うのですが、最近の傾向としては、身内が遠方であったり仕事などの都合で7日目に再び集まることが難しいなどの理由から、「繰り上げ初七日」や「繰り込み初七日」として「葬儀」と「初七日」を同日に行うことも増えてきています。
「初七日」の法要を「葬儀と同日に行う」か、または「改めて7日目に行う」かは、多くの場合、菩提寺や僧侶のほうから法事・法要の日程を提示していただいたときに相談して決めることができますので、ご都合に合わせて決めると良いでしょう。
精進落とし
「精進落とし(しょうじんおとし)」は、かつては遺族が忌明けに料理を振る舞う会食を意味していました。仏教の教えから、親族が亡くなった際には肉や魚を絶ち精進料理を食すことが慣例としてあり、四十九日の忌明けとともに通常の食事に戻すことから「精進落とし」と呼ばれていましたが、現代では、葬儀や法事・法要の後の会食を「精進落とし」ということも多く、僧侶や参列者を食事やお酒でねぎらい、故人を供養する目的で行われます。
しかしこの「精進落とし」は、その目的やタイミングが曖昧になっていることや、葬儀の小規模化、近年では新型コロナの影響もあり、会食形式ではなく、仕出し弁当やお寿司の折り詰めなどを持ち帰ってもらうことも多くなっています。
葬儀後の手順は?
さて、ここまでは近親者が亡くなってから葬儀までの手順をご紹介しました。葬儀を終えてからは、年賀状を控えたり、婚礼を延期したり、旅行を控えるなどし、喪に服します。この「喪中」の期間は厳密には故人との関係で異なるのですが、一般的にはおよそ1年間です。ご遺族はこの期間に行うべきことがあるので、ここからは「葬儀を終えてから遺族が行う大切な4つの事柄」について順にご紹介します。
御礼
慌ただしく「葬儀」を執り行った後には、関係者に「御礼」をしなくてはなりません。通夜や葬儀に参列していただいた方々には、「会葬御礼」として当日に返礼品を手渡しているケースが多いのですが、葬儀に際して特にお世話になった方や高額の香典をいただいた方には、改めて「お礼状」をお送りすると丁寧です。
また、通夜や葬儀に来られなかった方々で、弔電や香典、供物などを贈っていただいた場合には、「お礼状とともにお返しの品を送る」のがマナーです。
そして、葬儀のお手伝いをしていただいた近隣の方々には遅くともその週のうちに、自分の勤め先の方々などで直接会うことができる方々には忌引き休暇明けに挨拶回りをして、「無事に葬儀を終えた報告と感謝の気持ちを伝えること」を忘れないでください。
忌明け法要
多くの仏教の宗派では、故人が亡くなった日を含めて49日目を、亡くなった方が極楽浄土へ行く日として「四十九日法要」が行われます。遺族にとっては精進していた生活から日常の生活に戻る節目の日となり、この日をもって「忌明け」となります。
この四十九日目の「忌明け法要」を機に、仮位牌から本位牌にかえ、そして遺骨を安置していた仮の祭壇を仏壇へと祀りかえます。
葬儀への参列者や香典をいただいた方々には、無事に四十九日法要を終えて忌が明けた報告として、挨拶状や香典返しをこのタイミングで贈ることが一般的です。
遺品整理
忌明けの法要が済んだら「遺品整理」をします。
故人が遺したすべての品物を、残す物と捨てる物に分け、残す物の中で故人が愛用していた日用品などを関係の深い親族や親しい友人などに譲る「形見分け」をし、捨てて良い物は適切なかたちで処分します。
「形見分け」は本来、親から子、上司から部下へなど「目上の者から目下の者へ譲られるもの」ですが、目上の方から形見分けの要望があれば、それに応じることは失礼にはあたりません。
また、故人宛ての手紙やメモ、書類などは、後から必要になることもあるので、処分せずにとっておきましょう。
納骨
近親者が亡くなって、葬儀に関連する一連の行事としては「納骨」で一段落です。
葬儀の際に火葬をして骨壺に納めた「お骨」を、お墓や納骨堂などに「納骨」する時期としては特に決まりはなく、四十九日の忌明けまでは仮祭壇に祀り、忌明けのタイミングで仏壇に移してしばらく置く場合もありますし、「四十九日」や「百箇日」、「一周忌」「三回忌」など、遺族が集まる法要のタイミングで「納骨」を行うこともあり、どのタイミングで行うかは、遺族や親族で話し合って決めると良いでしょう。
まとめ
今回は、自分が遺族側となって「葬儀」を執り行う際の手順と、葬儀後に行う事柄について、順を追って詳しく解説しました。
「葬儀」は昔からの慣例に則った細かな決まりごとや儀式など、普段の生活の中では経験しないことばかりで戸惑うことも多いですが、まずは慌てず「葬儀社」を決めて、「火葬場」「僧侶」「参列親族の都合」「地域の習慣」の4つのポイントを押さえて進めていくことを覚えておいてください。
さらに細かい事柄については葬儀社のスタッフに聞けば教えてもらえますし、葬儀後の法要や納骨などで分からないことがあれば菩提寺や僧侶と相談できますので、落ち着いて進めていけば大丈夫でしょう。
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