葬儀に必ず必要となる祭壇。この祭壇には種類があるのをご存知ですか?
祭壇は、宗教によって大きく変わり、さらに自分で好きな祭壇を作ることもできる「オリジナル祭壇」が注目され始めました。
そこで、葬儀の祭壇はどんなものが好ましいのでしょうか。祭壇の種類や気をつけるべきポイントなをご紹介します。
葬儀の祭壇は多様化している
葬儀の際に用いられる祭壇は、広い意味では、仏や神・故人のために、供え物を捧げて供養するための壇です。祭壇の種類や大きさは、宗教や宗派、国や地域によって異なっており、元々、さまざまな祭壇が存在しています。日本で現在最も一般的な白木祭壇の形になったのは、戦後の高度経済成長期に火葬の葬儀がほぼ100パーセントになったことや、都市化が進んで葬儀場に祭壇を設けるようになってことなどが理由です。そして、現代の日本でも、家族構成などの変化により葬儀の様式が変化し、祭壇の種類も多様化されてきています。
主な祭壇の種類
日本の葬儀で主に使用されている祭壇の種類と、それぞれの特徴を簡単に解説していきます。祭壇は宗派によって使えるものが決まっていたり、使用する祭壇の種類や大きさによって金額が変わってきたりするので、自身の宗派や予算を加味したうえで、故人の希望に最も添える形の祭壇を選ぶようにしましょう。
白木祭壇
仏式の葬儀で一般的とされている、白木で作られている荘厳な印象を与える祭壇です。仏教以外の宗教で使用されることはほとんどなく、日本のお葬式は仏式が多いため、一般的に使用されるのがこの祭壇となります。白木祭壇は、元々土葬をしていた時代に、棺を輿に入れて皆で担ぎ、野辺送りをしたことに由来しており、歴史が古く伝統的な祭壇の様式です。白木祭壇は葬儀社が備品として各式場に設置していて、遺族の希望や、葬儀の規模に合わせて、袖の部分を追加するなどしてカスタマイズし使用しています。
花祭壇
花祭壇は、祭壇を花で飾ったものの総称です。中でも、生花を使ったものは生花祭壇とも呼ばれています。日本のお葬式では、白木祭壇と並んでスタンダードと言える祭壇ですが、花祭壇も人気があります。メリットは、白木祭壇と違って宗教色がないことです。そのため、どの宗派の方であっても利用することができます。最近では、造花を用いた花祭壇よりも、生花を用いた生花祭壇の方が人気となっています。生花祭壇が出始めたころは菊の花でラインを作成する祭壇が一般的でしたが、現在では洋花等も取り入れた色とりどりの花が用いられており、デザインの種類も故人の好みや思い出に合わせてさまざまな種類が用意できます。
キリスト教式祭壇
キリスト教式祭壇は、祭壇の一番上に十字架を置き、供物はせず生花を飾る祭壇です。文字通り、キリスト教式の祭壇です。キリスト教式のお葬式の場合、焼香を行わずに献花を行うので、祭壇には参列者がお花を置くスペースが設けられています。また、祭壇の真ん中にはキリスト教の信仰の象徴となる十字架が置かれる決まりです。十字架はキリスト教にとってとても重要なものにるので、基本的にキリスト教式祭壇では、十字架の周りにカーネーション等の生花が飾られます。他にも、ユリ、菊、バラ、カスミソウ、ストックなどが飾られる花としては一般的です。
オリジナル祭壇
オリジナル祭壇とは、宗派や形式にとらわれない祭壇の事です。白木祭壇や花祭壇よりはまだまだ数が少ないですが、最近では増えてきている祭壇の様式です。祭壇のデザインを故人の好きだったもののデザインにしたり、祭壇に故人の思い出の品を飾ったり、祭壇を作成する素材そのものも、好きに選ぶことができるところもあります。もしも、終活の際に自身の葬儀を検討しているということであれば、オリジナル祭壇を検討し、自身がどのような祭壇で見送ってほしいか、考えてみるのも良いかもしれません。
個性的な祭壇にする場合の注意点
まず第一に、オリジナル祭壇を作成する場合、祭壇に一度使ったらその後処分することになるので、通常の白木祭壇や花祭壇よりも割高になってしまうことに注意が必要です。また、依頼をする際にはしっかりと細部まで詰めてから葬儀会社に依頼しないと、出来上がったものがイメージと違っている、という問題も起こりかねので、その点でも注意が必要です。
最後に、故人の意思をきちんと尊重できているのか確認しましょう。お葬式は最後のお別れになりますので、どうしてもお金をかけて特別なものにしてあげたいと張り切られるご遺族の方が多くいらっしゃいますが、気持ちが流行りすぎてしまい、故人の意思を置き去りにしてしまうこともあります。それでは、せっかくオリジナルの祭壇を作成しても残念な結果になってしまいますので、注意しましょう。
祭壇の費用の相場
祭壇の平均相場は30万円~120万円です。ここまで平均相場に差があるのは、祭壇は大きさや種類によって大きく料金が異なるため。最もお手軽なのが白木祭壇で、レンタル料金は、10~120万円が相場です。祭壇の規模が大きいほど費用が高くなるので、予算に合わせて大きさを選ぶことができます。次に、花祭壇ですが、造花祭壇の相場は20万円から、生花祭壇はお花が生花である分値段があがりますので、30万円からです。キリスト教式祭壇は、葬儀場を使用して葬儀を行う場合には、レンタル料の相場は30万円程度ですが、教会を借りて行う場合にはもっと安価に済ませることができます。オリジナル祭壇の場合は、自由度が高い分、平均金額を出すことが難しいです。使う素材・飾り方・デザイン性などいよって値段はピンからキリまであり、数万円でできるものから数百万円かかるものまであります。
祭壇にお供えするもの
次は、実際に祭壇にお供えする供物について解説していきたいと思います。祭壇にも宗派などによって使えるものと使えないものがあり、ルールが存在していましたが、お供えする供物も、宗派によって供えていいものといけないもののルールが異なりますので、確認しておきましょう。
仏教の祭壇の場合
仏教の祭壇の場合は、果物や、日持ちするお菓子・缶詰などが適しています。これらの物の中で、生前個人が好んでいたものをお供えするのも良いでしょう。果物の場合、盛籠を供えることもありますが、盛籠は値段が高価なので、香典を出している場合は盛籠は送らないのが一般的です。香典だけでなく供物も送りたいという場合は、盛籠よりも小さい物を直接持参する方が良いでしょう。果物以外でも、供養に用いるための線香、ろうそく、お香なども供えることができます。逆に、海産物や肉など殺生に関わるものは供物として適さないとされていますので、注意しが必要です。
神式の祭壇の場合
神式の祭壇の場合は、仏教の祭壇の場合と同じ果物・日持ちするお菓子の他に、五穀などが適しています。また、仏教の祭壇とは違い、海産物は神の恵みと考えられているのでお供えしたとしてもマナー違反ではありません。お酒についても、神聖なものと考えられているのでお供えしても大丈夫です。逆に、仏教の場合は供えても問題の無かった線香、ろうそく、お香などは神の前に供えるのにふさわしくなとされるので注意しましょう。
キリスト教式の祭壇の場合
キリスト教式の祭壇の場合、供物を供えるという習慣がありません。供物をお供えするのは、「成仏できるように供養する」ためですが、キリスト教の場合、信者は神のみもとへ帰り、永遠の命を得る、とされているため、成仏を願ったり、故人の霊や神様に対して「お供えをする」という概念も存在しないためです。そのため、供物ではなく、祭壇の周辺を飾る生花を贈るのが一般的です。
キリスト教の祭壇に贈るお花は生花の籠花が原則で、色に規定はありませんが白色で統一するのが一般的です。
祭壇は、故人を表す重要な存在
祭壇は、葬儀の際に最も目立つ場所に設置されるものであり、最も参列者の目に留まりやすいものです。そのため、どのような祭壇を置くかによって、故人の生前の人柄を表すことができる、大切な役割があります。祭壇の中央には故人の遺影を飾ることになりますが、これが祭壇の顔となるでしょう。生前の故人を参列者に思い起こさせる重要なものとなるので、写真は慎重に選ぶことが大切です。できるだけ近い日に撮影した写真の中から、顔が正面から写っていて、生き生きした表情の、故人の人柄が伝わる写真を選ぶのがポイント。また、故人が写っている大きさが小さい物だと引き延ばした際に故人の顔がぼやけてしまうため、なるべく故人が大きく写っている写真を選ぶようにしましょう。
まとめ
祭壇にはさまざまな種類や大きさがあり、それによって金額も大きく変わってくるため、実際に葬儀を執り行う段階になって祭壇を短い時間で選ぶのはなかなか大変です。口に出しづらい話題ではあるかと思いますが、元気なうちに葬儀のことや祭壇はどのようにしたいかなど、お別れの仕方について家族で話をしておくと、本人の意向もきちんと反映された素敵な祭壇を用意することができるでしょう。
雅葬会は、業界関係者の力をお借りして祭壇を高品質なものに仕上げることができます。
定期的に勉強会を開き最新の情報を仕入れたスタッフが、ご遺族に行き届いたサービスの提供を実現します。
家族との最後のお別れは、ぜひ満足できる内容で行ってみてはいかがでしょうか。