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葬儀に参列する際のマナーは?葬儀の流れに合わせて解説
大切な家族を亡くされた遺族にとっては悲しみの最中でもありますから、亡くなられた故人やご遺族に対して最大限の弔意と敬意を示して礼を欠くことのないよう、しっかりと葬儀参列のマナーを身につけたいものです。
難しく感じる葬儀のマナーですが、大切なのは「身だしなみ」「礼儀と作法」「風習や慣習」「心構え」の4つです。それでは葬儀の流れに沿って詳しく見ていきましょう。
葬儀の流れとマナー
まずは、仏式の葬儀で概ね共通する「受付」の仕方とマナーについて詳しく解説します。そして「通夜」と「葬儀・告別式」の流れに沿って、それぞれのポイントとなる場面に合ったマナーや注意点をご紹介します。
宗派や地域の風習などによって異なる点もありますので、基本を踏まえた上で、参列する葬儀の宗派や作法についても事前に確認しておくと、より安心でしょう。
受付
会場に到着したら「受付」をします。「通夜式」「葬儀・告別式」の規模や様式によって多少異なる場合もありますが、「受付」の流れに沿って5つのポイントをご紹介しますので、基礎知識として頭に入れておいてください。
挨拶
受付係の人に「この度はご愁傷様でございます」などの簡単な挨拶をします。
香典を渡す
袱紗(ふくさ)から香典を取り出し、相手側から見て上下が正しくなるように向け、受付台の香典盆に置きます。
記帳
芳名帳や芳名カードへの記帳を促されたら、住所・氏名・会社名などを、省略せずに番地や建物名、号室までしっかり記入してください。
会葬御礼や香典返しを受け取る
記帳が終わると、「会葬御礼」や「香典返し」の品を渡されます。葬儀の様式によっては「引換券」を渡され、帰る際にこの引換券で品物を受け取る場合もあるでしょう。
荷物をクロークに預ける
コートなどの上着を着用している場合は、会場に着いたら脱ぎ、手にかけて「受付」に向かうのが基本的なマナーです。
コートや手荷物を式場に持ち込むことは失礼になりますので、必ずクロークに預けて、式場内には最低限の持ち物だけで入るようにします。クロークがない場合は受付で預かってくれますので、お願いしましょう。
お通夜
近年では、夜を徹して故人に付き添うのは近親者に限られ、それ以外の人には参列していただく形の「通夜式(つやしき)」を、故人が亡くなった翌日の夜、18時か19時ごろから1~2時間程度執り行われることが一般的になっています。
「通夜」は取り急ぎ駆け付けるという意味合いが強いことから正式な儀式ではありません。そのため厳密なしきたりといったものはありませんが、「通夜」でも服装や礼儀作法などの一般的な葬儀のマナーは守らなければなりません。
焼香
「通夜式」は僧侶が入場するところから始まり、続いて僧侶の読経が概ね40分~1時間程度です。参列者は読経がされている間に順に「焼香」をしていきます。
まず、遺族・親族が先に焼香をし、それに引き続き一般参列者は案内に従って祭壇の前に進み、ご遺族に目礼し合掌します。焼香後は再びご遺族に目礼し、席に戻ります。
故人との対面
「通夜」では、故人との対面は特別に親しかったという場合を除いては、遠慮することがマナーです。ただし、親しく付き合いがあった場合は、ご遺族から対面を促されることもありますので、その場合はご意向をお受けしましょう。
故人と対面する際には、まずご遺体の枕元から少し下がって正座し一礼します。ご遺族が故人のお顔に掛けられた白布を外したら、膝をつけたまま近付きます。そして、しばし故人との対面をした後、再度ご遺族に一礼し合掌します。この時「安らかなお顔で…」などの言葉がけをすると良いでしょう。
葬儀・告別式
「葬儀」は親族や友人・知人が故人の冥福を祈り死者を葬るために行われる宗教的な儀式で、「告別式」は故人と最期のお別れをする式典です。現代では「葬儀」と「告別式」の区別が曖昧になりつつあり、同日に一連の流れで執り行われることが一般的となっています。葬儀の日取りの都合にもよりますが、通常は「通夜の翌日の昼間」に行われ、所要時間は1~3時間程度です。それでは、「葬儀・告別式」のマナーのポイントを、流れに沿って順にご紹介していきます。
焼香
「焼香」の仕方は「通夜式」と同じ要領ですが、葬儀ではいちばん戸惑いやすいところですので、ここで焼香の流れを詳しくご説明しておきたいと思います。
順番を待つ
焼香は「通夜式」のときと同様に喪主や遺族・親族から行い、参列者は案内に従って順番を待ちます。
このとき数珠は左手に持つことがマナーになります。
焼香の前に挨拶をする
順番がきたら、焼香台の手前で一旦立ち止まり、遺族と僧侶に一礼します。
焼香台の前で挨拶をする
焼香台の正面の一歩下がったところまで進み、遺影に向かって一礼します。
焼香を行う
焼香台に向かって一歩前に進み、右手の親指、人差し指と中指の3本で抹香を摘んで、香炉へ移します。焼香の作法は宗派によって異なり、故人の宗派に合わせて行うのが丁寧ですが、ご自分の宗派の作法で行っても構いません。
合掌する
焼香をしたら遺影を仰ぎ見て、両手を合わせて故人の冥福を祈ります。
一歩下がって挨拶する
焼香台から一歩下がって、再び遺族と僧侶に一礼し、席に戻ります。「葬儀」では、僧侶の読経中に退出しないことがマナーとなっていますので、読経が終わるまでは着席しているようにしましょう。
出棺
「葬儀・告別式」に参列した場合には、できるかぎり「出棺」まで立ち会い、見届けることがマナーです。「葬儀・告別式」が終了したら、会場の外に出て静かに待機します。
冬場など防寒が必要な場合は、待機中に限ってコートなどの上着を着用しても問題ありませんが、「出棺」のときには防寒具は脱いで手に持ちましょう。
雨が降っている場合は傘を差しても構いません。ただし傘の色は黒や紺などの地味な色合いで、無地であることが基本です。シンプルなビニール傘で代用しても大丈夫です。
そして霊柩車が動きだしたら、合掌をして頭を下げ、故人の冥福を祈りながら、最後まで見送りましょう。
火葬
「葬儀・告別式」を終えて、会場から「出棺」した車は「火葬場」へと向かいます。一般的に「火葬」まで同行する人は、喪主、遺族・親族、近親者、そして特に故人と縁が深かった人で喪主から同行を許可された人のみです。
「火葬式」では、「納めの式」「火葬」「収骨」が行われます。全体の所要時間は1~2時間程度かかり、「火葬」をしている間は控え室で待機することになります。待機中も葬儀の一環ですので、騒いだりせず静かに故人の思い出話などをして過ごすのがマナーです。
もし火葬場への同行を依頼されたけれど時間の都合がつかない場合は同行しなくても問題ありませんが、失礼のないように丁重にお断りしましょう。
精進落とし
現代では、遺族が僧侶や会葬者をもてなす目的で「葬儀・告別式」のあとに振る舞う食事のことを「精進落とし」といっています。
「精進落とし」の会食が開かれて参加する場合には、振る舞われた食事には必ず箸をつけるのがマナーです。そして招待される側として参加する場合は、遺族をねぎらい、思い出話をするなどして故人を偲びます。くれぐれも、お酒を飲み過ぎたり、羽目を外したりなどの失礼がないように心がけましょう。あまり長居をし過ぎないこともマナーとなります。
葬儀に参列するときのマナー
さて、ここまでは「通夜式」「葬儀・告別式」のそれぞれの場面でのマナーをご紹介してきましたが、ここからは参列する際の準備と心構えにおけるマナーをご紹介します。
葬儀に参列する際の基本的なマナーは、身だしなみを整えることです。葬儀にふさわしい服装、数珠や香典などの葬儀の必需品、バッグやハンカチといった持ち物、到着時間についてもマナーがありますので、1つ1つ確認してみましょう。
服装
葬儀に参列する場合には「喪服」を着用します。「喪服」には、「正喪服」「準喪服」「略喪服」があります。
正喪服は故人の遺族が着用する第一礼装で、一般会葬者として葬儀に参列する場合は準喪服が適切です。準喪服とはブラックフォーマルなどの「礼服」をいい、女性の場合は黒のフォーマルドレス(アンサンブルやワンピース)になります。
お通夜に参列する場合は、略喪服でも構いません。略喪服とは黒のビジネススーツ、濃紺やグレーのダークスーツです。女性のパンツスーツもこれに含まれます。デザインはシンプルで、光沢や艶がなく、無地で地味な色合いであることが男女共通のルールです。
また、近親者のみの葬儀で、喪主から平服でといわれた場合でも、普段着ではなく略喪服を着用するのがマナーですので気を付けてください。
持ち物
葬儀参列の際の「持ち物」は最低限にとどめることがポイントです。注意が必要なのは、「数珠(じゅず)」、「香典(こうでん)」、「袱紗(ふくさ)」、「ハンカチ」、そして女性の場合は「フォーマルバッグ」です。
数珠は仏事での必需品で、念珠(ねんじゅ)とも呼ばれます。宗派によってデザインが異なる「本式数珠」を葬儀の宗派に合わせて持つことが正式ですが、略式数珠であれば宗派を問わず使用できます。ただし、男性用と女性用がありますので注意しましょう。
「香典」は、新札ではなく旧札を包むのがマナーです。そして弔事用の「不祝儀袋」にお札の向きを揃えて入れ、「袱紗」で包みます。袱紗の色も葬儀に適した紫やグレーなどの地味な色のものを選びます。
また「ハンカチ」も、男女ともに準備していくことをおすすめします。色は白または黒やグレーで、喪服と同様に光沢のないシンプルなものが最適です。
女性が葬儀で持つ「フォーマルバッグ」は、光沢のない黒色で、動物の革を使用していない布製のものであることがマナーとなっています。
到着時間
会場に到着する時間にもマナーがあります。一般的には、通夜、葬儀・告別式ともに開式の30分~1時間前に受付が始まりますので、なるべく開式の30分前には会場に到着し、開式までに受付を済ませられるよう、必ず余裕を持って出発しましょう。万が一遅刻した場合は、会場の案内人の指示に従って、静かに後方に着席します。
また、やむを得ない事情で途中退席する場合は、あらかじめ案内人にその旨を伝えておき、退席しやすい後方の席に座り、お焼香を済ませてから退席しましょう。
葬儀に参列する際にしてはいけないこと
ここまで、参列する際に「すべきこと」をご紹介しましたが、最後に『してはいけないこと』を5つご紹介しておきます。
会場内では「私語をしない」
しめやかな悲しみの場ですので、私語は慎みましょう。大きな声で話したり、談笑するなどはもってのほかです。
携帯電話やスマートフォンが鳴らないようにする
マナーモードでも振動音やアラームが鳴ってしまうことがあります。葬儀中には迷惑になりますので、電源を切っておきましょう。
数珠の貸し借りはしない
手持ちの数珠がない場合は、ホームセンターや百円ショップなどで探し、できる限り準備していきましょう。万が一、準備が間に合わなかったり、うっかり忘れてきてしまった場合には、他の人の数珠を借りることは避け、そのまま持たずに参列するほうがマナーに沿っています。
亡くなった経緯を聞かない
故人の亡くなった経緯をあれこれ尋ねたり話題にすることは、故人にも遺族にも失礼になりますので控えましょう。
「通夜振る舞い」や「精進落とし」は断らない
葬儀の会食には参加するのが礼儀でありマナーですので、その日はできるだけ予定を入れず、時間の融通が利くようにしておきましょう。
まとめ
今回は、葬儀に参列する際の「マナー」について解説しました。細かなことをひとつ一つ覚えるのは大変に感じますが、会場ではスタッフが丁寧に指示をしてくれますし、他の参列者がしている様子を参考にすれば無理なくこなせるものですので、落ち着いて、まずはしっかりと「身なりを整えて」臨みましょう。
そして葬儀におけるマナーとは、故人や遺族に対する弔意と敬意を表すものですから、形だけに気を取られることなく、「心をこめて」参列することを忘れないでください。
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