昨今、葬儀の形に変化が現れ、通常の儀式を行わない新しい送り方があります。
「無宗教葬儀」や「自由葬」といった言葉はご存知でしょうか。
仏教のしきたりに則った宗教的な儀式や葬儀が一般的ですが、自由葬を選択される人が一定の割合で増えています。
では、なぜ自由葬が選ばれるのでしょうか。
今回は、自由葬が選ばれている理由とともにその注意点をいくつかのポイントに分けて解説していきます。
「無宗教葬儀」「自由葬」って?
無宗教葬儀とは、宗教的な葬儀の習わしなどにとらわれず、自由な形式で行われる葬儀のことで、自由葬などとも呼ばれています。
日本ではもともと仏式で葬儀を執り行うのが一般的でしたが、最近では「故人らしい送り方にしたい」という思いから段取りが自由な無宗教葬儀を選ぶ人が増えています。
無宗教の葬儀は、特定の宗旨や宗派の決まった礼儀方式がなく、伝統的な作法で執り行わなくてよいため自由な形式を選ぶことができます。
僧侶の読経や戒名を授けられることがない代わりに、故人が好きだった音楽をかけたり献花したりすることが出来るので、家族葬でより故人に寄り添った形で送りたい方や明るい気持ちで送りたいと考えている方の思いに添ってくれます。
無宗教はあくまでも「特定の宗教に所属しない」という意味であり、決して宗教や神を否定するわけではありません。
仏教を信仰している方が無宗教葬儀の参列することは何も問題ありませんので、誤解の無いようにしましょう。
宗教に囚われない無宗教葬儀が選ばれる理由
では、なぜ「無宗教葬儀」「自由葬」が選ばれているのでしょうか?
その理由を、3つの視点から解説していきます
- 1.段取りが自由
- 2.お布施がいらない
- 3.故人の個性を活かした葬儀ができる
一つずつ見ていきましょう。
1.段取りが自由
通常の仏式の葬儀では、お坊さんによる読経やお焼香など、決まった段取りで式を行います。
無宗教の自由葬なら、このような段取りにとらわれずに自由なプランを組むことができます。
例えば、読経の代わりに好きな音楽を流したり、硬い雰囲気の弔辞ではなく「お別れの言葉」として故人の友人がスピーチをしたりと、その内容は様々です。
全体の流れは仏式を踏襲し、宗教色の強い箇所だけアレンジするといった方法もあります。そうすることで、参列者に混乱を与えずに、自由な葬儀ができます。
2.お布施がいらない
通常の葬儀では、お寺や教会に葬儀の依頼をすることでお布施の支払いが発生します。
自由葬では、宗教とは無関係で葬儀が行えるためお布施の費用がかかりません。
お布施の相場は通常の仏式で20万〜50万円ほどなので、その点では通常よりもリーズナブルに葬儀ができると言えるでしょう。
3.故人の個性を生かした葬儀ができる
自由葬の一番のメリットと言える点です。
シンプルなライフスタイルを愛していた方なら、シンプルな葬儀にできます。逆に、派手な演出や音楽を愛していた方なら、式の始まりから終わりまでずっと音楽を流すというプランにすることもできます。
故人が愛した音楽や趣味のものに囲まれ、その人の「らしさ」が主役となり、通常の葬儀よりも故人の存在を近く感じることができるでしょう。
無宗教葬儀だからといって、宗教らしさは一切排除しなくてはならないというわけではありません。
例えば、「読経は行わないが、焼香は実施する」といった形で、どれだけ宗教色を出すかということも選べるのが「自由葬」なのです。
無宗教葬儀の注意点
実際に無宗教葬儀を行う場合に、注意すべき点があります。
- 1.菩提寺とのトラブルにつながることも
- 2.破格の費用で葬儀ができるというわけではない
- 3.無宗教葬儀=戒名がつかない
- 4.葬儀社に全てお任せができない
一つずつ解説していきます。
1.菩提寺とのトラブルにつながることも
「菩提寺」とは、先祖代々のお墓があり、仏事を行う特定のお寺のことです。
菩提寺があるにも関わらず無宗教葬儀を選択してしまった場合には、僧侶や親族とトラブルになる恐れがあります。
先祖代々のお墓が使えなくなってしまう可能性もあるので、無宗教葬儀にしたいが菩提寺がある人は檀家を避けるか、親族によく相談するなど事前に準備しておく必要があります。
自由葬の場合、葬儀の形式が自由なことでお葬式後の流れも定められたものがありません。
四十九日や一周忌といった法要にも縛られないので、例えば「1年後の命日を節目として食事会をする」など、この点をどうしていくか検討し、家族や親族間で決めておく必要があります。
2.破格の費用で葬儀ができるというわけではない
先ほどご説明した通り、自由葬は宗教者を呼ばないためお布施といった謝礼が発生しません。
しかし、葬儀場で葬儀を行う以上それ以外は通常の葬儀と同様の費用が発生します。費用面では破格に安くできるというわけでは無いことは留意しておきましょう。
どうしても低コストを重視したいという方は、無宗教での「火葬式」「直葬」を検討しましょう。
参考としては、無宗教葬儀の一種で、火葬のみ行う場合の相場は10万円〜30万円ほどなので、こちらに実施したい内容に応じた追加料金がかかると考えておくと良いでしょう。
破格の費用で葬儀ができるというわけではないですが、予算から逆算することで、可能な限りの葬儀を行えるところが無宗教葬儀の魅力です。
3.無宗教葬儀=戒名がつかない
「戒名」というのは、仏教徒になった証として檀家になっているお寺から死後もらう名前のことを指します。
無宗教の方には必要ないため、昨今では生前に名乗っていた俗名のまま葬儀や納骨をする方も増えてきています。
戒名がなくても葬儀は行えますが、お寺の納骨堂やお墓に納骨したいという場合はほぼ戒名が必要になってくるので、そのあたりも踏まえて葬儀の形式を考えるのが良いでしょう。
仏教ではなく宗教にこだわらない場合は戒名をいただかずに、公営や民間の納骨堂・墓地に入ることになります。
4.葬儀社に全てお任せができない
通常の葬儀であれば、予算や方向性を決めたら葬儀会社の葬儀プランを選び、あとはスタッフや葬祭ディレクターにお任せをすることができます。
しかし、自由葬の場合、葬儀内容を一から企画しなくてはいけません。
故人が詳細を指定してくれていれば多少は楽ですが、それでも細かい内容などは全て葬儀会社にお任せをするということが難しいのが自由葬です。
もちろん、葬儀会社は全力でサポートをいたします。しかし、故人の意思に関わる内容の決定権は遺族にあるので、通常の葬儀よりも準備や事前の段取り決めに、遺族側の手間がかかってしまいます。
自由葬は、自由だからこそ大変?
自由葬には、自由だからこそ大変な側面があります。
遺族が自由葬に理解があるかどうかが、非常に重要になります。
自由葬を希望しているのであれば、生前から遺族にきちんと相談し、また葬儀のプランも可能な限り具体的に決めておくと良いでしょう。
参列者への気配りも同様です。葬儀に関する案内を送る際に、無宗教の自由葬にて執り行う旨をきちんと周知するようにしましょう。
現在、国内で行われている葬儀は約8割が仏式とされています。
自由葬はまだまだ数としては少なく、新しいタイプの葬儀スタイルと言えます。
しかし、自由葬は時代の変化に合わせて今後よりニーズが増えていくでしょう。
無宗教葬儀を検討するなら、まずは葬儀社に相談しよう
葬儀社の選び方も大切です。
あらかじめ、自由葬の葬儀実績があるかどうかを確認しておきましょう。
自由葬のプロデュースに慣れていない葬儀社に依頼してしまうと通常の儀式がないぶん、時間を持て余してしまうといったことも起こりかねません。
葬儀の内容は、すべてを葬儀社に任せることはできないので、やはり「こんな葬儀にしたい」という希望や「自分が送られる時はこうしてほしい」といった要望を明確に準備しておく必要があります。
故人や遺族の要望をベースに、そこからはプロの力が必要になってくるので、無宗教葬儀を検討する際は、まずは実績のある葬儀社に相談してみましょう。
まとめ
無宗教葬儀は新しい葬儀の形です。故人や遺族の意向を葬儀に反映することができるので、心に残る暖かな送り方になるでしょう。
自由な形式だからこそ家族や本人の希望に沿った式にすることができますが、参列者が不慣れな場合は葬儀の際に困惑してしまうことあるので、事前に服装コードなどをお知らせしておくことが大切です。
また、無宗教のため戒名がないことでお寺の納骨堂やお墓には入れないことがほとんどなので、納骨する場所や先祖代々のお墓があるかなど家族とよく相談して決めるようにしましょう。
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