葬儀の豆知識
弔問時に関わらず、故人を偲ぶ際は言葉遣いに注意
「弔問はいつまでに行くべき?」「弔問のときの持ち物って何が必要なの?」など、弔問に関する疑問を抱えている人は珍しくありません。遺族に失礼にならないような服装や言葉遣いなど、判断に困ることが多いのではないでしょうか。
この記事では、急な弔問にも慌てず対処できる知識として、弔問の際のマナー、訪問時の服装・持ち物、香典の用意の仕方など解説しています。
弔問とは
弔問とは、遺族の自宅へ訪問してお悔やみを伝えることをいいます。その際には、服装、言葉遣い、訪問する前のルールなどを守って遺族を気遣いたいですね。
最近では、家族だけのお葬式が増え、通夜や葬儀に参列できないなどの事情から弔問の機会が増えているようです。いつ弔問することになっても慌てないように、しっかりポイントを押さえておきましょう。弔問のタイミングは、故人との関わり方で違ってきますので注意が必要です。
弔問は故人との関係性によって対応が異なる
3親等内の親戚と、遺族から直接知らせを受けた人は、できる限り早くお通夜の前に駆けつけます。
それ以外の人は、生前に故人と親しくしていても通夜前の弔問は控え、通夜・葬儀に参列するか、葬儀を終えた3日目以降、四十九日までに弔問します。弔問の前には必ず遺族に連絡して、伺って差し支えないか都合を聞いておきましょう。
通夜・葬儀の準備で忙しい遺族には気遣いが必要ですので、葬儀場で喪主に挨拶を済ませたり、弔電を送ったなら弔問は不要です。
葬儀に参加できなかった場合は弔問に伺うことも
仕事でどうしても葬儀に間に合わなかったり、葬儀の後に不幸を知ることもあります。最近は家族葬や直葬といったコースに人気があり、訃報を知っても葬儀に参列できないケースも増えています。
しかし、親しかった方が亡くなられた場合、香典を直接渡したいと思うのはごく自然なことです。ぜひ弔問に訪れて遺族にお悔やみの言葉を伝えましょう。弔問の流れや香典の表書きなど解説しますので、ぜひ参考にしてください。
弔問の流れ
ここからは、仏式の弔問の流れを説明します。
玄関でお悔やみの言葉を伝える
(遺族にお焼香を促されたら、室内に上がります)
枕花やお供えを渡す
(上がるよう促されなければここで香典を渡して帰ります)
焼香
①両手をついて遺族に一礼
②仏壇・祭壇の前で遺影に一礼
③ろうそくで線香に火をつけて左手で消す
④両手をついて遺影に一礼
⑤合掌
⑥両手をついて遺族に一礼
香典を渡す
(袱紗に載せて遺族に香典を渡します)
線香のあげ方は宗派によって異なるので、故人の宗派が分からないときは遺族に前もって確認しておきましょう。お通夜の前に、故人との対面を促された場合は、遺体を見る自信がなければ断っても失礼になりません。
弔問に伺う前に知っておきたいマナーや注意点
弔問に伺うときは、遺族に失礼にならないように押さえておくべき点がいくつかあります。服装や持ち物、お悔やみの言葉、持ち物には決まりごとがあり、これらの作法は喪主や遺族を気遣うためのものです。
弔問の前に知っておきたいマナーや注意点を取り上げましたので、ぜひ役立ててください。
弔問する際は遺族に連絡を
弔問とはいえ、遺族の家に突然伺うのはマナー違反です。弔問の前には、必ず遺族のお宅に伺って良いか確認の連絡を入れましょう。
なお、通夜の前の弔問は、親族や遺族から直接知らせを受けたごく親しい人に限られます。それ以外の人は、親しい友人でも葬儀の後に3日ほどおいて、四十九日までに連絡を入れ、先方の都合を優先して日時を決めます。
また、遺族から弔問を辞退された場合は、理由を聞かずに弔意を伝えるだけに留めましょう。
服装に注意!喪服は避けましょう
弔問のときは喪服を着用しないのがマナーです。通夜・葬儀前の弔問では、喪服は死を予測していたことになりますし、葬儀の後では、遺族に別れや不幸を連想させてしまうためです。
男性はスーツ、女性はアンサンブルやワンピース、ともに紺やグレーなどの地味で派手にならない色の平服であれば問題ありません。ダークスーツやワンピース、アンサンブルは法事にも使えますので、数珠、袱紗などと一緒に揃えておくと安心です。
弔電に手土産は必要?
葬儀の後の弔問では基本的に手土産は不要ですが、気が引けるのであれば、供え物として日持ちのするお菓子や果物が良いでしょう。
また、葬儀前の弔問で遺族から訃報を受けた近親者は、通夜までに届くように枕花を手配します。枕花の相場は5千円〜2万ほど、花屋に依頼する場合の相場は1万円程度です。
葬儀の後の弔問でお花を持参するときは、派手な色のものを避けます。故人が好きだったお花が華やかなものの場合は、遺族にその理由を伝えましょう。
香典を持参する場合は表書きに注意
香典は、渡す時期と宗教・宗派により表書きが変わりますので注意が必要です。下記では表書きの種類を紹介します。
- 通夜前
- 葬儀後
- 仏式
- 御霊前(ごれいぜん)
- 御仏前(ごぶつぜん)
- 仏式(浄土真宗)
- 御仏前(ごぶつぜん)
- 仏式(宗派が不明)
- 御香典(ごこうでん)
- 神式
- 御神前(ごしんぜん)
- 御玉串料(おんたまぐしりょう)
- 御神前(ごしんぜん)
- キリスト教(カトリック)
- 御花料(おはなりょう)
- キリスト教(プロテスタント)
- 御花料(おはなりょう)・御ミサ料(おみさりょう)
水引の下に自分の名前をフルネームで書き、薄墨の筆を用いるのが原則ですが、筆ペンでも良いでしょう。なお、通夜の前の弔問では、不幸を予見していたという意味になるため、香典を用意しません。
長居は避けましょう
弔問では、お悔やみの言葉は手短に済ませ、できる限り長居をしないよう心がけましょう。遺族は通夜・葬儀の対応に追われているため、どのような間柄でも長話は負担をかけてしまいます。悲しみを和らげるような言葉をかけたいと思っても、話が長引かないよう数分で切り上げるのがマナーであり思いやりです。
もし慰めの言葉や、伝えたいことがあれば手紙で弔意を伝えるか、時間が経ってから後日改めて訪問しましょう。
弔問時に関わらず、故人を偲ぶ際は言葉遣いに注意
弔問の際に遺族へかける言葉には注意が必要です。「この度はご愁傷さまです。心からお悔やみ申し上げます」は誰もが知っているお悔やみの言葉ですが、この後は何を伝えたら良いのでしょうか。
お悔やみの言葉は、使わないほうが良い言葉や宗教による違いなど、状況に合わせたルールや決まりがありますので基本を覚えておきましょう。
適切なお悔やみの伝え方をしよう
「この度は、誠にご愁傷様でございます。心からお悔やみ申し上げます」
「この度は、思いがけないことで、さぞお力落としでございましょう。心からお悔やみ申し上げます」
などが一般的なお悔やみの言葉です。
「大往生」「天寿をまっとう」は遺族が使う言葉なので、こちらからは使わないようにしましょう。また、重ね言葉や忌み言葉もタブーです。
最後に「なにかお手伝いできることがあればなんでも気軽にいってください」と忘れずに一言添えましょう。
死因は聞かないのがマナー
訃報を聞いたときに、動揺して死因を聞いてしまいそうになりますが、遺族が話すまではこちらから聞いてはいけません。事故の原因や病気の様子を聞くことで、亡くなったときの辛さを思い出させてしまいます。
また、遺族によっては死因を知られたくない場合も考えられますが、遺族から死因や亡くなる際の様子を打ち明けられる可能性もあります。
その場合は、こちらからは深堀せず、さりげなくふるまうように心がけましょう。
宗教によってお悔やみの言葉は異なる
「ご冥福をお祈り申し上げます」は仏教の言葉です。
キリスト教では「死は神の計画の一部で、神の元へ召される一時的なものでいずれ天国で会える」と考えるため、お悔やみの言葉はありません。
神式では人が死ぬと「人は亡くなると氏神になって家を守る」と考えます。そのため「御霊(みたま)のご平安をお祈りいたします」「心より拝礼させていただきます」といった言葉が使われます。
宗教・宗派を問わず使えるのは、「この度は、お悔やみ申し上げます」です。
まとめ
ここまで弔問のマナーや流れ、ふさわしい言葉など解説しました。
遺族にお悔やみを伝えるとき、いざとなるとうまく表現できなかったり、気を使いすぎてかえって喪主や遺族を煩わせてしまうこともあります。遺族にとって、言葉数は少なくても負担をかけないよう心遣いを示すのが何より有難いものです。最近では、家族のみで告別式が行われ、後から訃報を聞くケースも少なくありません。
ぜひ、いつでも対応できるように弔問の知識や作法を知っておきましょう。