葬儀の豆知識
年忌法要とは?宗教による違いやよくある質問に回答
年忌法要について、どこまで知っていますか?言葉自体は知っていても、詳しい内容までは知らない方が多いのではないでしょうか。そこで今回は、年忌法要について詳しく解説します。この記事を読めば、年忌法要の基本的な内容を把握することができます。宗教による違いやよくある質問についても解説するので、年忌法要が気になっている方はぜひ最後までご覧ください。
年忌法要とは
年忌法要は、故人が亡くなったのと同じ月日に行われる供養の儀式のことです。ある年の1月31日に亡くなった場合は、翌年以降の1月31日が年忌法要の日程になります。親族や故人が親しかった人たちを集めて、僧侶の読経で故人を偲びます。
意味合いや規模は地域・寺院の考えにより異なりますが、決まった年数ごとに行われるのが一般的です。なお、最近は参列者が出席しやすいように、長期休み明けや平日を避けて行われることもあります。
年忌法要の前に準備すること
年忌法要の前に準備すべきことは、主に以下の8つです。
・日程の設定
・出席者の予定確認
・食事場所の手配
・引き出物の注文
・移動手段の確保
・宿泊場所の準備
・お布施やお車代の準備
年忌法要は、故人を偲ぶために行われる重要な法要です。僧侶や参列者に迷惑をかけないためにも、事前に準備しておくべきことがいくつかあります。年忌法要をスムーズに進めるためにも、あらかじめ年忌法要に向けて準備すべきことを把握しておきましょう。
年忌法要はいつまで行うのか
ここからは、弔い上げや年忌法要の回数について詳しく解説します。故人を偲ぶために行われる年忌法要ですが、いつまで行うのかについてはさまざまな考え方があります。一般的な回数を紹介するので、地域や家庭によって決まりがある場合は、そちらを優先してください。
年忌法要は三十三回忌まで
年忌法要は、一周忌から始まり三十三回忌まで行われるのが一般的です。仏教において、三十三回忌のころになると、魂が極楽浄土に行くことを許されるからと言われています。そのため、三十三回忌をもって終了する場合が多いです。
なお、最近はライフスタイルの変化や高齢化に伴い、十三回忌を目途に年忌法要を終える方も増えています。喪主や参列者が高齢化すると、年忌法要を営むのが難しくなるため、親族や寺院と相談して弔い上げのタイミングを決めましょう。
弔い上げについて
弔い上げは、故人を弔うために行われる最後の年忌法要のことです。地域によっては、弔い上げではなく「問上げ(といあげ)」「上げ法要(あげほうよう)」「問い切り(といきり)」と呼ばれる場合もあります。
なお、弔い上げは一つの節目となる重要なタイミングですが、他の年忌法要の他に何か特別なことをする決まりはありません。中には他の年忌法要より盛大に行う場合もありますが、特に決まりはないので、寺院と相談して決めるとよいでしょう。
宗教による年忌法要の違い
以下では、宗教による年忌法要の違いについて紹介します。
・仏教
・神道
・キリスト教
・イスラム教
「年忌法要って仏教だけじゃないの……?」と思っている方も多いでしょうが、実は神道やキリスト教にも年忌法要にあたる儀式があるのです。宗派宗旨ごとに年忌法要には違いがあるので、故人に対して失礼にあたらないためにも、あらかじめ確認しておきましょう。
仏教
仏教の場合、一周忌から始まって三十三回忌を弔い上げにして終わるのが一般的です。
なお、真言宗の場合は、十七回忌のあとに二十三回忌と二十七回忌を行います。三十三回忌で終わらず、五十回忌・百回忌・百五十回忌まで行うこともあります。仏教でも宗派によって異なる場合があるので、疑問点がある場合は親族や寺院に確認しましょう。
神道
神道の場合、年忌法要ではなく「式年祭(しきねんさい)」が行われます。式年祭は、年忌法要と同じく、故人が亡くなったのと同じ月日に儀式を行います。故人が亡くなってから翌年に行われるのが一年祭、その後は二年祭・三年祭・五年祭・十年祭となるのが一般的です。
なお、十年祭のあとは、10年ごとに五十年祭まで行われます。地域や家庭によって異なる場合もあるので、あらかじめ親族に確認しておきましょう。式年祭の際の服装は、五十日祭までは喪服のほうがいいとされています。
キリスト教
カトリックの場合、故人が亡くなった日から3日後・7日後・30日後に「追悼ミサ」、故人が亡くなってから1年経ったタイミングで「祈念のミサ」を行います。また、カトリックでは11月2日を死者の日としており、大きなミサが行われます。
プロテスタントの場合、故人が亡くなってから30日目に「昇天記念日」を行うのが一般的です。仏教のように年忌法要を行うことはありませんが、3年目や7年目などのタイミングで記念祭を行うことが多いです。
イスラム教
イスラム教の場合、お墓参りをする習慣はありますが、仏教のように年忌法要を行うことはありません。ただし、イスラム教ではお葬式を数日間にわたって行うのが一般的とされています。偶像崇拝を禁じられているので遺影は飾りませんが、お葬式の日数が長いのが特徴的です。
イスラム教のお葬式は、礼拝・埋葬・葬式の順番で行われることが多いです。また、日本では火葬されることが多いですが、イスラム教の場合は土葬が一般的とされています。日本で行う場合は、あらかじめ親族や葬儀社に相談しておきましょう。
年忌法要に関するよくある質問
ここからは、年忌法要に関してよくある質問を紹介します。
・年忌法要をしない選択肢はある?
・年忌法要に香典は必要?
年忌法要は、地域や家庭によって異なる場合も多いですが、根本のマナーは共通していることが多いです。実際に自分が喪主を担当することになってから「年忌法要のマナーが分からない」となっては大変です。故人を偲ぶ大切な儀式で恥をかかないためにも、年忌法要のマナーについてしっかりと確認しておきましょう。
年忌法要をしない選択肢はある?
中には年忌法要をしない家庭もあります。喪主が高齢だったり、親戚がみな遠方に住んでいたりする場合は、行わない選択をする方も少なくありません。
最近は、一周忌のみ行い、三回忌からは行わない選択をする家庭も多く見られます。ただし、年忌法要のそもそもの目的は「故人を弔う」ことです。必ずしもやらなければならないと決まっているものではないので、親族や寺院を話し合って決めるとよいでしょう。
年忌法要に香典は必要?
年忌法要に香典は必要です。一周忌までの相場は、会食ありなら1万円〜3万円、会食なしの場合は5000円〜1万円となっています。ただし、相場は個人との関係性によっても変わるので、わからない場合は親族に尋ねるのがおすすめです。
親族の場合は、過去に受け取った香典金額とのバランスを見て金額を決めるのも一つの方法です。他にも、結婚祝いや入学祝などをもらっている場合は、その金額も考慮して香典額を決定するとよいでしょう。
まとめ
今回は、年忌法要について詳しく解説しました。年忌法要は、地域や家庭によってやり方が多少異なるので、疑問点がある場合は寺院に聞くのがおすすめです。故人に失礼にならないためにも、あらかじめ準備しておくべきものや香典の相場などを把握しておきましょう。