葬儀の豆知識
喪服と礼服の違いは？それぞれの種類を詳しく紹介
なんとなく知っていても、混同してしまうことが多い喪服と礼服。しかし、それぞれの着用シーンや種類を把握しておかないと、マナー違反にみなされる場合があります。礼服は時間帯によって適したものが異なるため、さらに注意が必要です。今回は、喪服と礼服の違いについて解説するので、ぜひ参考にしてください。
喪服・礼服とは
一見同じようにも見えますが、喪服と礼服には明確な違いがあります。喪服と礼服のそれぞれの特徴を把握しておかなければ、大切な場面で恥をかいてしまうかもしれません。社会人になると、会社の代表として葬儀に参列する機会も出てきます。それぞれについて理解しておかないと、気付かないうちにマナー違反を犯してしまいかねません。最適なシーンで正しく着用するためにも、ぜひ参考にしてください。
喪服
喪服は、冠婚葬祭のうちの「葬」である弔事のシーンで用いる礼服のことです。礼服の中の一つとして考えられており、主に故人の近親者が喪に服すときに着用します。遺族でなくても、葬儀に参列するときは喪服を着用するのが一般的です。
混同されがちですが、喪服の黒とビジネススーツの黒は異なります。喪服は漆黒であるのに対し、ビジネススーツの黒は少しグレーがかっています。「黒だからバレないだろう」と葬儀にビジネススーツを着ていくと色の違いが一目瞭然なので、必ず喪服を用意しましょう。
礼服
礼服は、冠婚葬祭に出席する際に着用するフォーマルなスーツです。結婚式や儀礼式典に参列する場合は、敬意を表すためにも礼服を着用する必要があります。ビジネススーツと混同する人も多いですが、礼服をビジネススーツとして着用するのは避けた方が良いです。
また、礼服には昼の礼服と夜の礼服があります。昼間に開かれる披露宴や結婚式に参列する場合は昼の礼服、夜に開かれる式典やパーティーに参列する場合は夜の礼服を着用しましょう。厳密に決められているわけではありませんが、選ぶときは考慮しましょう。
喪服と礼服の違い
冠婚葬祭の際に着用する正装を礼服といい、冠婚葬祭の中でも葬儀や法事の際に着用するのが喪服です。礼服が結婚式や披露宴などのおめでたい式典で着用されるのに対し、喪服は葬儀で故人への弔意を示すために着用します。
かつては白が喪服と考えられていたため、故人の近親者は白を着用して喪に服していました。しかし、近年は喪に服す色が黒とされているので、和服を用いる場合も黒が選ばれます。
喪服の種類
続いて、喪服の種類について紹介します。喪服には「正喪服」・「準喪服」・「略喪服」の3種類があり、シーンに応じて使い分ける必要があるとされています。それぞれの違いを把握しておかないと、マナーがなっていないとみなされる可能性があるので注意が必要です。ときには、会社の代表として葬儀に参列するようにいわれる場合もあるので、困らないためにもあらかじめ把握しておきましょう。
正喪服
正喪服は、葬儀の場において故人の遺族や親族が着用する、最も格式の高い喪服です。男性の場合は黒のモーニングコートを着用し、パンツも黒のものを選びます。ワイシャツは白、ベスト・ベルト・靴下・靴などは黒で統一します。ネクタイも黒の無地を選んでください。
基本的に腕時計以外のアクセサリーは着用せず、カバンも光沢のないものを選びましょう。女性の場合は、黒のスーツやアンサンブルなどのブラックフォーマルを着用します。黒のワンピースでも問題ありませんが、スカートの丈には注意が必要です。
準喪服
準喪服は、葬儀において参列者が着用する喪服です。男性の場合はブラックスーツを着用し、正喪服の時と同様にパンツも黒のものを選びます。シャツは白、ネクタイ・カバン・ベルト・靴下・靴は黒のものを着用します。なお、準喪服としてのブラックスーツとビジネス用のブラックスーツは別物です。
女性の場合は、黒のワンピース・スーツ・アンサンブルなどのブラックフォーマルを着用しましょう。正喪服の時と同様に、スカートの丈はひざ下まであるものを選んでください。あまりにも丈が短いものだと、マナー違反にみなされる場合があるので注意が必要です。
略喪服
略喪服は、急に訃報を知って駆け付けたお通夜や三回忌以降の法事のときに着用します。男性の場合は、黒・紺・グレーのダークカラーのスーツを着用しましょう。ワイシャツ・ベルト・靴・靴下などのルールは、正喪服や準喪服のときと同じです。
女性の場合は、黒・紺・グレーの地味なワンピースやスーツを着用します。パンプスは黒がベストですが、もし持ち合わせていない場合はグレーや紺でも問題ありません。なお、略喪服の場合は白や落ち着いた色のブラウスの着用が可能です。
礼服の種類
続いて、礼服の種類について紹介します。喪服には「正礼装」・「準礼装」・「略礼装」の3種類があり、目的やシーンに応じて使い分ける必要があるとされています。それぞれの着用シーンを把握しておかないと失礼にあたる場合があるので、必ず特徴と着用シーンを把握しておきましょう。なお、礼服は着用する時間帯によっても使い分ける必要があります。
正礼装
正礼装は礼服の中で最も格式が高い礼服であり、記念パーティーや公的な式典で着用されます。結婚式において、新郎新婦の父親が着用しているのも正礼服です。なお、正礼装は時間帯によって茶狂する礼服の種類が異なるので注意が必要です。
朝や昼の時間帯は、モーニングと呼ばれる正礼装を着用します。モーニングは、ジャケットの目の部分が短くなっており、後ろの裾に行くにかけて長めになっているのが特徴です。夕方の時間帯は、ジャケットの間部分が2つに分かれている燕尾服を着用します。
準礼装
準礼装は、正礼装の次に格式が高い礼服であり、式典の主賓や結婚式で親族が着用します。昼のパーティーに参加する場合は、ディレクターズスーツを着用するのが一般的です。パンツは、白の千鳥格子のものや黒とグレーのストライプのものを着用します。
一方、夕方のパーティーに参加する場合はタキシードを着用しましょう。女性の場合は、ドレッシーであり上品なドレスを着用することが多いです。特に色は決まっていませんが、同色無地のドレスを着用するのが一般的でしょう。
略礼装
略礼服は、準礼装より格式が低い装いであり、結婚式に参列する人が着用するものです。男性の場合は、ブラックスーツやダークスーツを着用しましょう。正礼装や準礼装の場合は白シャツを選ぶ場合が多いですが、略礼装ならワイドカラーやクレリックシャツでも問題ありません。
ブラックスーツに合わせるタイは、白と黒のストライプのものやシルバーグレーのものがおすすめです。夜のパーティーや結婚式の二次会に参加する場合は、黒の蝶ネクタイを合わせるのも良いでしょう。
ブラックスーツなら慶弔両方に使用できる
ブラックスーツは、結婚式だけでなく葬式でも使用できるスーツです。結婚式に参列する場合は白のネクタイ、葬式に参列する場合は黒のネクタイを着用しましょう。礼服・喪服の両方で準礼服として着られるので、1着持っておくとかなり便利です。
なお、ブラックスーツを購入する際は、光沢がないかどうかを確認する必要があります。光沢のあるブラックスーツは、結婚式でしか着用できません。結婚式と葬式の両方で着用したい場合は、光沢のないブラックスーツを選びましょう。
ブラックスーツとビジネス用スーツの違い
ブラックスーツとビジネス用スーツは、色や形が似ているため混同されることが多いですよね。しかし、礼服として使われるブラックスーツは、ビジネス用スーツに比べて黒の度合いが濃いです。ビジネス用スーツは、漆黒ではなくグレーがかった黒に近い色をしています。
また、礼服として使われるブラックスーツの素材はウールですが、ビジネス用スーツはポリエステルです。葬儀に参列するのにビジネス用スーツを着ていくと、マナー違反とみなされる場合があるので注意しましょう。
まとめ
今回は、喪服と礼服の違いについて解説しました。喪服が葬儀のときに着用する礼服であるのに対し、礼服は記念式典や結婚式のときに着用します。着用するシーンを間違えると、マナー違反になる可能性があるので注意しましょう。
なお、礼服は時間帯によって着用する種類を変える必要があります。時間帯に合わない種類の礼服を着用すると、周りから浮いてしまう場合があるので気を付けてください。使用シーンに合った礼服を着用し、失礼にあたらないようにしましょう。
