近年、一般的なお通夜と告別式を2日間にわたって行う大規模な一般葬よりも、
一日葬などの小規模な葬儀が増えています。
特に人口の多い都市部を中心に増えており、年々一日葬を行う割合は増えている状況です。
そもそも一日葬と一般葬は何が違うの?と思う人も多いかと思います。
そこで今回は、なぜ一日葬の割合が増えているのか、一日葬とはどんなものなのかなどを紹介していきます。
割合が増えている一日葬とは
通常行う一般的な葬儀は、一日目にお通夜、2日目に葬儀、告別式、火葬など2日間にわたって行われます。
しかし、一日葬とはお通夜を省いて一日で葬儀を行うという形式になり、通常の葬儀の後に行う、お通夜後のふるまいの食事も行わず省略して、全て一日で行う葬儀です。
最近ではワンデーセレモニーとも呼ばれています。
お通夜を行わないので、会食の準備や遠方からの宿泊者の費用を抑えながらも、簡略しすぎない葬式なので、参列する側もしっかりとお別れができるでしょう。
一日葬の割合はどれくらい伸びている?
2020年に行った第4回
「お葬式に関する全国調査」では、一般葬、家族葬、一日葬、直葬・火葬式の4種類で調査を行うと、一日葬は5.2%の割合になっています。
この数字をみるとまだまだ少なく感じますが、2015年度の調査ではでは3.9%、
2017年では4.4%ということから、徐々に一日葬の割合が伸びていることがわかりました。
また、一日葬の内容の満足度に関しては71%、費用については50%が満足と答えており、
かなり高い数字となっています。やはり、費用を抑えながらも故人とのお別れがしっかりできるという理由が挙げられますね。
一日葬式の割合が多い理由
近年、一日葬の割合が増加傾向にある理由は様々です。
葬式を行う側からも参列する側もどちらにも、割合が増える理由があります。
ここでは、一日葬の割合が増えている理由を3つ紹介します。
香典返しなどの費用を抑えられる
一般葬にかかる費用の平均は120万円前後で、一日葬の相場は30万円から60万円前後です。
この数字からしてかなりの費用は軽減できることがわかります。
通夜を行わないので、会場代や食事代がいりませんし、参列者にお配りする返礼品も1日分を準備するだけなので費用はかなり削られます。
また、少人数で行えば会場も広い場所を用意する必要がなくなるため、会場代も通常の葬儀よりかなり軽減できます。
ご遺族および参列者の負担が軽減できる
一般葬は2日間で葬儀を行うため、最低でも2日遠方からの参列だと3日以上の拘束期間があります。2日以上の拘束はかなり精神的にも身体的にも負担になるでしょう。
しかし、1日だけで終わらせることができれば、ご遺族も参列者もお互いが負担の軽減になります。
また、高齢化も進んでいて参列者やご遺族に、ご高齢の方が含まれている可能性が充分にあり、1日で終わる葬儀は体力の少ない人にも適しているでしょう。
スケジュールの調整がしやすい
一般葬だと2日間と考えなくてはならないので、参列者は2日もしくは3日の日程調節が必要になります。
遺族側もそれ以上の日程調節が必要になるでしょう。
仕事などの関係で2日以上のスケジュール調整は厳しいと行く人も多く、葬式に参列できない場合もあります。
一方で一日葬であれば、1日予定を調節すれば良いだけなので、参列者も遺族側もスケジュール調整がしやすいです。
また、一日葬はだいたい夕方には終わるので、遠方の人も日帰りで参列することができるでしょう。
一日葬の大まかな流れ
受付 | 受付をして香典を渡す |
遺族・参列者着席 | 遺族・親族から順番に着席する |
僧侶入場・読経開式 | 僧侶が入場されてお経が始まる |
弔電奉読 | 贈られた弔電を紹介する |
ご焼香 | 遺族から順番に焼香行う |
読経終了 | お経が終わる |
僧侶退場 | 僧侶が退場して終了 |
喪主挨拶 | 喪主の挨拶時間は約3分ほどで短めの挨拶が好ましい |
告別式開式 | 告別式が始まる |
お別れ | 故人との最後のお別れここで御棺に花を入れたりお別れの言葉を伝えます |
告別式終了 | 告別式が終わる |
出棺 | 火葬場に向けて出棺 |
火葬 | 火葬にはおよそ40~60分ほど時間がかかります |
収骨 | 骨を集めてツボへ納める |
初七日法要・精進落とし | 火葬に来てくれた人たちと食事をする |
納骨 | お墓に納骨する |
一日葬の流れは、お通夜は行わないため、葬儀・告別式前に遺族だけで納棺を行います。
流れは葬儀場のスタッフが進めてくれるので、自分自身で予定を立てる必要はありません。
当日の葬儀は上の表の順番で進んでいきます。
火葬は全員が行く必要はなく、基本的には遺族・親族・生前とてもお世話になった人です。
そのほかの参列者は出棺後解散となります。ここまでの所要時間は1時間30分~2時間程度です。
火葬に参列する人は、場所を移動した後に表のような流れで火葬が行われます。
一日葬は場合によって
「初七日法要・精進落とし」「納骨」は行いません。その場合は、収骨で解散となります。
納骨は基本的に四十九日や一周忌のあとに行われることが多いですが、当日行う場合もあるので喪主に確認しておくと良いでしょう。
一日葬の注意点
ここまでで、1日葬はメリットばかりありそうに感じますが、注意点も知っておく必要があります。
最近多くなってきた葬儀の形式なので、馴染みも少なく理解が得られない場合もあります。
葬儀中や葬儀後にもめることは、故人に申し訳ありませんよね。
後悔しないためにも、しっかりと注意点を知り、皆の納得を得たうえで行うことが重要です。
お寺や参列者から反対される可能性がある
1日葬が増えて来ているといっても、まだまだ世間的には2日間かけて行う一般葬が主流です。そのため
「1日で供養を全て終わらせる」ということに反対の声が出る可能性が充分にあります。
お寺によっては従来の形式でなければ断られることもあり、通夜・葬儀・告別式を行わないと、納骨をしてもらえない可能性もあるほどです。
一日葬を希望するのであれば、お寺や遺族と充分に話し合うことで、トラブルを最小限に押さえることができるでしょう。
故人とお別れする時間が短くなる
通常、お通夜は夕方から夜にかけて行うため、
「お通夜の時間であれば参列できる」という方もいるかもしれません。お通夜があれば故人のことをゆっくりと語ることもできるでしょう。
しかし、一日葬ではお別れの時間が2日間から1日になってしまうので故人とのお別れの時間が必然的に短くなってしまいます。
お別れの時間の長さではなくて、気持ちだということをわかって頂くためには、事前にしっかりと話をしておくことが重要です。
式場代が2日分かかる場合がある
葬儀を行うのは1日であってもご遺体は前日に運ぶことも考えられます。
そうなると、お通夜を行う一般葬と同じく2日分の費用を請求される場合があるでしょう。
また、一日葬だからといってお坊さんのお布施を減らこともできませんし、葬儀費用が半額になるということもありません。
葬儀社によって、一般葬を変わらないというケースもないといえないので、事前にしっかりと調べておきましょう。
まとめ
一日葬は参列する側も遺族側も負担を最小限に押さえることができる葬儀です。
特に高齢化社会が進んでいる現代では、参列者・遺族側共に高齢である可能性が高いのが現状にあります。
昔から行ってきた一般葬の伝統も大切ですが、負担の面を考えると一日葬も視野に入れておくと良いでしょう。
しかし故人と最期のお別れにトラブルを起こすことは避けたいものです。
気持ちよく故人を送り出すためにも、周りと充分に話し合いをして、理解を得た状態で一日葬を行うことをおすすめします。