葬儀の豆知識
生前葬の流れは?費用相場や注意点と合わせて解説
生きているうちに行う葬儀である「生前葬」。自分に合った葬儀を選ぶためにも、生前葬の流れやメリットを知っておきたいですよね。また、生前葬にはいくつかの注意点があるので、把握しておかないとトラブルに発展する場合があります。今回は、生前葬の流れや行うメリットなどについて解説するので、ぜひ参考にしてください。
生前葬とは
生きているうちに、お世話になっている人たちに感謝の気持ちを伝えるために行う「生前葬」。基本的に感謝の言葉やお別れの挨拶を伝える場所となっているので、お別れ会や感謝の会と呼ばれる場合もあります。
また、葬儀はお世話になった人が自分のために行ってくれるものですが、生前葬は自分が主体となって意思や希望を実現します。そのため、生前葬には決まったスタイルがありません。自分の半生を映像にして流したり、好きなアーティストの音楽を流したりして和やかに開催する方が多いです。
生前葬を行う目的
生前葬は、これまでお世話になった人たちにお別れの挨拶をし、感謝の気持ちを伝えるために行われます。また、自分が高齢になるとお世話になっている人たちも高齢になるため、本来の葬儀に参列できない人が増えるのに備える目的で行う方も多いです。
本人が生きているうちに行うため、従来の葬儀のように厳粛な雰囲気ではなく、明るい空気で行われる場合もあります。さらに、人生の節目を目安に行われることが多いです。疑似的な死を通して人生を振り返り、重荷をおろして新たなスタートを迎えるための長寿儀礼の要素も含まれます。
生前葬を行うメリット
ここからは、行うメリットを詳しくご紹介します。生前葬は、本来の葬儀に比べて自由に行えるのが魅力です。生前葬を行うメリットを知っておくと、自分が人生の節目を迎えたときに慌てなくて済みます。また、生前葬にはさまざまなメリットがあるので、生前にお世話になった人に感謝の言葉を伝えたい方はぜひ参考にしてください。
自分で内容を決められる
行う内容を自分で決められるのがメリットです。場所・内容・呼ぶ人など、すべての内容を自分で決められます。そのため、自分が主体となって生前に意思や希望を実現したい方におすすめです。
通常の通夜や葬儀と違って決まった形式がないので、自分らしさを存分に発揮した式を計画できます。また、亡くなった後に行う葬儀は、遺体の安置や手続きなどに追われる場合が多く、葬儀の打ち合わせや準備に時間をかけられません。しかし、自分が生きているうちに行うため、打ち合わせや準備に好きなだけ時間をかけられます。
家族や親族の負担を減らせる
生前葬は、家族や親族の負担を減らせるのがメリットです。一般的な葬儀では、家族が葬儀社や僧侶と打ち合わせをして葬儀を行います。また、葬儀会場や振る舞う料理なども家族が手配します。しかし、期限のある行政の手続きも同時に行わなければならないため、ゆっくりと葬儀のプランを検討する時間がない場合が多いです。
一方、生前葬は会場の手配や打ち合わせを自分自身で行います。生前葬を行っておけば、死後の葬儀を簡略化して行う場合も多いです。そのため、生前葬は家族や親族の負担を減らしたいと考える方にも多く選ばれています。
直接感謝の気持ちを伝えられる
生前葬では、お世話になった人たちに対して直接感謝の気持ちを伝えられるのがメリットです。一般的なお葬式は死後に行われるため、直接感謝の気持ちを伝えられません。そのため、お世話になった人たちに対して直接感謝の気持ちを伝えたい方は生前葬を利用するのがおすすめです。
また、生前葬はどうしても生前に会っておきたい人に会う機会として使われる場合があります。地域や会社などの重要な役職から引退する区切りとしても行われる場合も多いので、人生に区切りを付けたい方にも向いているでしょう。
生前葬の流れ
生前葬には決まった流れがないため、自分で自由に決めて行えます。しかし、基本的には以下のような流れで進められる場合が多いため、具体的な流れを知りたい方はぜひ参考にしてください。
- 司会者による開式の挨拶
- 本人からの挨拶
- 自分のこれまでの人生の紹介
- 来賓の方の挨拶
- 友人や親族のスピーチ
- 会食や歓談の開始
- 友人による余興
- 司会者による閉式の言葉
なお、自分の人生を紹介する際に画像や動画を用いる場合は、事前に準備しておく必要があります。また、本人からの挨拶では、生前葬を行った経緯やこれまでの思い出などを話すのがおすすめです。本来の葬式のように厳粛な式ではないため、前向きな気持ちになる内容や楽しい気持ちになるような挨拶を心がけましょう。
生前葬の費用相場
生前葬の費用相場は、20万円~30万円です。なお、定まった形式がないため、内容や会場の大きさによって費用が大きく異なりますが、30人~50人規模で行う場合は、会場利用料や設営費に装飾費用などを合わせて30万円くらいかかります。10人~20人の小規模で行う場合は約20万円です。
葬儀社のプランによっては飲食費用や返礼品費用が含まれていないので、人数分の金額を加算して計算しておくと良いです。また、自分史の動画を作成してもらう場合は作成費用、演奏家を呼んで生演奏をしてもらう場合は演奏費用などがかかる場合もあります。
生前葬の注意点
ここからは、生前葬の注意点を詳しくご紹介します。生前葬には多くのメリットがありますが、いくつか注意点もあります。また、広く認知されている葬儀ではないため、周囲の理解を得にくい場合も多いです。あらかじめ注意点を把握しておかないとトラブルに発展する場合があるので、開催を考えている方はぜひ参考にしてください。
生前葬の流れは葬儀社に依存しやすい
決まった流れがないため、内容を自分で考えなければなりません。しかし、白紙の状態から生前葬の内容を考えるのは大変です。その場合は、葬儀社にアドアイスをもらったり用意されているプランを使って行うのもおすすめです。
しかし、自分の希望に沿った内容を提案してくれる葬儀社を選ばないと、納得のいく式が行えない場合があります。そのため、複数の葬儀社を比較検討し、自分の想いに寄り添ってくれる葬儀社を選ぶようにしましょう。
服装の指定をしておくと良い
生前葬を行う際は、服装の指定をしておくと安心です。生前葬は平服での参加が一般的ですが、分からない人もいるので平服か喪服か指定しておくと良いでしょう。もし喪服で参加してほしい場合は、案内状に喪服で参加してほしい旨を記載してください。
なお、基本的に男性は地味な色のスーツ、女性はアンサンブルやワンピースなどの平服で参加します。
生前葬に関するよくある質問
ここからは、生前葬に関するよくある質問をご紹介します。あらかじめよくある質問を把握しておけば、生前葬の準備をスムーズに進められます。生前葬を行った後の葬儀やお墓に関する内容も解説するので、生前葬を検討している方はぜひ参考にしてください。
生前葬をした場合は亡くなった後の葬儀はする?
生前葬はプレ葬儀としても捉えられるため、亡くなった後の葬儀は不要と考えられがちです。しかし、本人が火葬のみで良いとしても、せめて読経だけでもしてあげたいと考える遺族が多い傾向にあります。なお、遺体の安置・納棺・火葬は必ず行わなければなりません。
菩提寺によっては読経を行わないとお墓に入れてもらえない場合もあるので、菩提寺がある場合は事前に相談してください。また、本人だけで生前葬を決めてしまうと親族とのトラブルに発展しかねないため、家族や親族にも事前に相談しましょう。
生前葬を行った後はお墓や仏壇を用意する必要はある?
生前葬を行った場合でも、お墓や仏壇は一般的な葬儀後と同じように用意する場合が多いです。なお、残された家族に負担がかからないように、エンディングノートを使って事前にプランを計画しておくと良いです。
永代供養でなく、樹木葬や散骨などの方法を用いたい場合は、生前から家族と話し合っておきましょう。最近は、細かく砕いた遺骨をアクセサリーにしたり家族で分骨して供養したりなど、形式や宗教にとらわれない方法を選ぶ方も増えています。
生前葬を行うタイミングは?
生前葬は、古希や傘寿などの人生の節目に行う場合が多いです。人生の節目に生前葬を行えば、大切な人たちと自分の人生を振り返り、今後の生き方を考えるきっかけになります。また、生前葬は退職時や地域の重要な役職から引退するときなどにも多く行われています。
自分の人生に区切りをつけて新たな人生をスタートさせたい場合にもおすすめなので、ぜひ人生の転機のタイミングで計画しましょう。なお、生前葬は余命を受け入れて、残りの人生を有意義に過ごしたい方にも最適です。
まとめ
今回は、生前葬の流れや行うメリットについて紹介しました。生前葬には決まった流れがないため、自分らしさを存分に発揮した式を計画できます。自分の自分史を振り返る動画を作ったりプロの演奏家を呼んだりして、明るく盛大に行うのもおすすめです。
なお、生前葬を行いたい場合は、自分の希望に沿った内容を提案してくれる葬儀社を選びましょう。また、残された家族に負担がかからないように、エンディングノートを使って事前にプランを計画しておくと安心です。