終活中の方や、ご家族のために葬儀費用を用意している方の強い味方が「葬儀保険」です。
「お葬式に保険?」と思われるかもしれませんが、お葬式は思ったより費用がかさむこともしばしば。
今回は、葬儀保険の内容や、保険の必要な方、加入時の注意点をまとめました。
葬儀費用だけじゃない、必要なお金
お葬式にかかる費用は、葬儀社で働く人によると、総額で約135万前後ではないかと言われています。
内訳は、
①飲食接待費
②寺院費用
③葬儀一式費用
という3つのカテゴリに分けられますが、一般的に葬儀社が出す見積書は③の「葬儀一式費用」のみですので、注意が必要です。
①飲食接待費
お通夜で振舞われる「通夜ぶるまい」と、火葬が終わって法要をしていただいた後の「精進落とし」の2回が含まれます。
また、出席者への返礼品などがある場合はこちらに含まれます。
②寺院費用
仏式の場合は、法要での読経と戒名にかかる戒名料を指します。キリスト教式の場合は、教会使用料、牧師・神父・演奏者への謝礼と、献金、生花代などが主なものです。
無宗教でのお葬式の場合は、こちらはかかりません。
③葬儀一式費用
遺体のお迎え・搬送、お通夜・葬儀・告別式、火葬・骨上げといった実際の葬儀次第一式にかかる費用を指します。主に葬儀社に払う費用です。
葬儀保険とはどんなもの?
このように、人によってはお葬式の費用はかさみやすく、保険や共済の死亡支払金で賄うことになります。
しかし、保険金の支払いは最短でも5営業日以内のことが多く、お葬式には間に合わないことのほうがしばしばです。葬儀社に支払いを待ってもらえる場合もありますが、お寺や火葬場の費用はその場で必要になります。
こんなときに心強いのが、「葬儀保険」です。
葬儀保険の一番の特徴は「死亡時には翌営業日に支払われる」点です。このため、すぐに必要な費用が用意でき、お葬式の懸念を一つ減らせます。
また、葬儀保険は「少額短期保険」と呼ばれる限定的な保険で、死亡時の支払いも50万円~300万円程度と規模が小さいのも特徴です。1年ごとの更新かつ保険料も安めで、加入済の終身保険に上乗せしても負担になりません。
性質上、加入時の審査も緩く、高齢者や持病をお持ちの方でも加入しやすくなっています。
保険をおすすめする方・保険がなくても大丈夫な方
便利な葬儀保険とはいえ、毎月の保険料がかかることに変わりはありません。
今回は「保険をおすすめする方」と、「保険がなくても大丈夫な方」をそれぞれまとめました。
①保険をおすすめする方
地元の名士のような方だと、大規模なお葬式が必要なことも多くあります。
特に告別式やお別れ会を想定している場合、「返礼品のグレードアップ」「参列者数の増加」などで想定より費用がかさみやすく、保険の加入がおすすめです。
ほかにも、新たにお墓を購入する予定がある方、菩提寺ではないお寺でのお葬式で事前の打ち合わせが難しい方も、加入しておくほうが安心です。
②保険がなくても大丈夫な方
参列者に家族や親しかった方のみを想定している方の場合、飲食接待費がほとんどかからないため、保険が必要ない場合が多いでしょう。直葬を希望している場合は20万円前後のため、不要なことがほとんどです。
また、キリスト教式で必要な費用は仏式の1/3程度と言われています。ただし、無宗教の場合は相場がありませんので、事前に打ち合わせをしておくと安心です。
葬儀保険を選ぶときの注意点
葬儀保険を選ぶ際は、いくつかの注意点があります。
①加入年齢
15歳から加入できる葬儀保険もありますが、一般的には30歳もしくは40歳が下限です。
上限は89歳までが多いのですが、保険によっては75歳までという場合もあるため注意が必要です。
②要介護や入院予定・入院中ではないか?
葬儀保険に医師の診断は不要ですが、まったく基準がないわけではありません。
・がんや認知症などの指定された病気にかかっている
・要介護認定をもらっている
・入院中もしくは今後の入院予定がある
・治療で入院し、現在もその病気を治療中
・5年以内にがん、脳疾患、心疾患の疑いがあった
などの場合、加入できないことがあります。
③2親等もしくは3親等以内の親族がいるか?
葬儀保険も保険のため、受取人として2親等もしくは3親等以内の親族以外を指定できない場合があります。
ただし保険会社によっては、内縁関係にある方や同性パートナーの方を指定できるため、保険会社に聞いておくと良いでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
葬儀保険はメジャーな保険ではありませんが、高齢化社会の到来によって注目されはじめました。お葬式の相場はわかりづらく、葬儀社の見積もりも総額ではないこともあり、費用を気にして満足できるお別れができなかった……。となってしまいやすいものです。
葬儀保険は、月々の小さな負担で最後のお別れをサポートしてくれる心強い味方ですので、一度は検討してみると良いかもしれません。