葬儀の席順にはルールがあります。知らないと恥をかいてしまったり、場合によっては葬儀に参列されている他の人を不快な思いにさせてしまうかもしれません。
葬儀の際にそのようなことにならぬようあらかじめ、
「葬儀の親族の席順に関するマナー」についての知識を学んでおきましょう。また、一緒に家族葬や通夜などの振る舞いの際の席順のルールも紹介しておきます。ぜひ参考にしてください。
葬式で席順が決まっている意味とは
葬儀で席順が決まっているのには大きく二つの意味があります。
一つに
「故人との関係を示す。」という意味です。
参列される方に対して、誰が喪主で、誰が親族かということを明確に示す目的のために席順が決められます。
二つ目の理由は、葬儀をスムーズに進めるために席順を決めています。日本で行われる葬儀の多くが
「仏式葬儀」です。この葬儀の場合は、
「お焼香」を行います。この
「お焼香」には順番があり、喪主、遺族、親族、一般会葬者の順で行います。
あらかじめ席を決めておくことで、この順序通りに
「お焼香」を行いやすくなります。二つ目の理由は葬儀をスムーズに進めることができるからです。
葬式の席順のルール
次に、席順に関するルールを見ていくことにしましょう。
親族席・一般席について
葬儀の席順は一般に血縁関係の深い順に決まります。そのため、祭壇に近い方から喪主、遺族、親族、一般会葬者の順に席が決まります。葬儀場のレイアウトは一般的に中央に通路があり、左右に席があるのが一般的です。この場合、祭壇に向かって右側が親族席、左側が一般席となります。
親族席は、喪主、遺族、親族の順に座りますが、一般席は世話役代表者、葬儀委員長、友人、知人、会社関係者の順に座ります。中央に通路のない場合は、前から順に、喪主、遺族、親族の親族席、その後に世話役代表、葬儀委員長、友人、知人、会社関係者の順に座るのが一般的です。
上座・下座について
葬儀の座席にも
「上座」と
「下座」があります。
祭壇に向かって近い方が
「上座」で、遠い方が
「下座」です。祭壇前から順番に
「上座」「下座」の順番になります。
また、中央に通路がある場合は、祭壇に近い、中央側が上座になります。ですから、中央に通路のある場合は、最前列の中央通路側の席に喪主が座り、その右隣に遺族、さらに右隣りに親族の順に座ります。
一般席も同様で、最前列の中央通路側に世話役代表、その左隣に葬儀委員長、友人、知人の順に座るのが一般的です。
故人との(血縁)関係の濃い順に上座に座る
席順は個人との血縁関係で決まります。簡単に言えば、血縁関係の濃い順番に上座から座ることになります。喪主、遺族、親族の順はまさに血縁関係の濃い順です。
一般の参列者の場合も同様ですが、血縁関係ではなく、個人との関係性で席順が決まります。そのため、世話役代表者、葬儀委員長が上座に座り、以降は友人、知人の順になります。会社関係者は下座に座るのが一般的です。
葬式の親族席の席順ルール
喪主の席
喪主は上座の最も優先順位の高い位置に座ります。最前列の一番端の中央通路側と決まっています。別な言い方をすれば、最前列の中央の位置になります。
これには理由があります。喪主はお焼香も最初に行います。同時に、葬儀に際しては挨拶をしたりと役割があります。葬儀をスムーズに進めるためにも喪主は動きやすい位置に座ることになるのです。
故人の配偶者の席
故人の配偶者は、一般に喪主になることが多いです。喪主の場合は、喪主の位置に着座しますが、喪主でない場合は、喪主の隣の位置に座ります。故人との血縁関係の優先順位では、配偶者は親と同じ優先順位になります。
言い換えれば、遺族の中で最も血縁関係の深い位置にあることになります。
喪主または、喪主の次位の位置に着座することになります。
故人の兄弟姉妹の席
故人の兄弟姉妹は、独立していれば親族になります。まだ、独立していない場合は遺族となります。独立していなければ遺族の位置に着座し、独立していれば親族の位置に着座することになります。
兄弟姉妹においても順位があります。一般に男子が優先されます。年齢に関係なく長男、次男、三男と男性が優先で、その後に長女、次女となります。
古い考え方が基本ですから、年齢順にしても何の問題もありません。
故人の子供・孫の席
故人の子供は遺族の位置に着座をします。一般に長男、次男、長女、次女、両親の順位順列がついていますが、大きくこだわる必要はありません。また、個人が独立していない場合は、両親と兄弟が遺族になります。この場合は両親、兄弟の順列になります。
また、お孫さんは独立した家庭であればお孫さんおご両親とともに親族となります。両親と同居をしているような場合は、遺族として参列するのが良いでしょう。
家族葬・通夜振る舞い(会食)の席順マナーについて
家族のみで故人をおくる家族葬や、通夜など振る舞いの席での席順についても触れておきます。葬儀同様にルールはありますが、それほど厳密に守らなければならないというものではありません。
家族葬の場合
家族葬の場合の席順は、個人との血縁関係の濃い順に上座から座るのが一般的です。家族葬ですから細かな順位にこだわる必要はありません。それでも家族単位に位置して座るのが一般的です。
祭壇に近い、上座から喪主家族、遺族、親族の順位なります。親族は血縁関係の濃い順になりますが、家族葬と考えればそれほど大きくこだわらず親族間で話し合って決めれば問題がありません。
通夜振る舞いの場合
通夜の場合も席順は基本的に上座から血縁関係の濃い順に位置するのが一般的です。また、家族単位で座ります。故人との関係性によって上座から下座へ、その関係性の深さによって座る場所が大まかに決まっているとの理解で十分です。
祭壇から遠い下座の位置が一般会葬者となります。友人、知人として通夜に参列する場合は、空いているからと言って上座の席に座らないように配慮が必要です。
葬式の席順に関するよくある疑問
葬式の席順に関してはここまでお伝えしてきた中にも多くの方が疑問に思われることがいくつかあるようです。その中でも特に多い疑問を二つあげて説明をします。
Q,故人の嫁に出た長女はどの順序か
故人のお子さんでお嫁に出た長女は、地域によっては遺族になる場合がありますが、多くの場合は親族として扱います。
例えば、故人に長女、次女とお二人の娘さんがいらして、長女の方が嫁いでいるような場合には、次女は遺族、長女は親族となり、席順は次女の方が上座に座ることになります。
とはいえ、それほどこだわらなくとも大丈夫なので、家族で話って決めればいいことです。
Q,どこまでが親族になるのか
どこまでが親族なのか問疑も多い疑問です。
法律では血縁では6等親、姻戚なた3等親と決められています。しかし、生前の故人との付き合いによっては6等親、3等親を超えた人とも深い交流がある場合もあります。
このような場合は、あえて6等親、3等親にこだわらず親戚として葬儀に参列して頂いた方が故人も喜ぶことと思います。
まとめ
葬儀に際しては、祭壇に向かって前から上座、後ろの方が下座となります。一般に血縁関係の濃い方から順に上座から座ることになっています。
とはいえ、故人の生前の関係性から血縁関係はなくとも深い関係性をもってお使いをしていた人たちもいることと思います。
葬儀のマナーとしては、基本的にこれらのルールを守りながら、臨機応変に故人の喜ぶ順列で座ることを考えても何の問題もありません。細かなルールに縛られすぎることなく良い葬儀を執り行うことの方を優先してください。