かけがえのない家族が亡くなり、葬儀を故人の住み慣れた自宅で行いたいと考える方は多いのではないでしょうか。
しかし、実際にどのような流れで行えば良いのか分からないと不安に思う方も少なくありません。
葬儀には細かな流れがあって儀式に沿うことが重要であり、自宅葬の場合は喪主がすべてを取り仕切りながら数ある工程を怠りなく進められることが大切です。
そこでこの記事では、自宅葬の主な流れや自宅葬を行う際の注意点などを詳しく解説しています。
はじめて自宅葬を行うという場合や、事前に自宅葬を知っておきたい場合には、ぜひ参考にしてください。
自宅葬の流れ
自宅葬とは、通夜や葬儀を斎場で行わず、故人の自宅で執り行う葬式のことです。
これまでは斎場を利用し、できるだけ喪主に負担の少ない葬儀場で執り行う葬儀がほとんどを占めていました。
しかし、最近まで問題視されていた新型コロナウイルス感染症の流行の影響のほか、故人や喪主の意向により、自宅葬での葬儀を選ばれる方が増えてきています。
葬儀には一連の流れを順番に沿って行う必要があり、その項目も非常に多いため、滞りなく行うためには流れを理解しておく必要があります。
自宅葬での主な流れは以下の通りです。
1ご臨終
2葬儀社への連絡・打ち合わせ
3故人の搬送
4自宅にて故人の安置
5枕飾りの設置
6納棺
7祭壇などの設営
8お通夜
9葬儀・告別式
10出棺
11火葬・骨上げ
12遺骨安置
下記で分かりやすく主な流れについて解説します。
1ご臨終
医師からの死亡確認を受け、死亡診断書を受け取ります。
2葬儀社への連絡・打ち合わせ
葬儀社へ連絡を入れ、病院にご遺体の引き取りに来てもらいます。
そこで葬儀社と自宅葬を行いたい旨を伝え、大まかな葬儀の打ち合わせを行います。
ただし、故人が生前に葬儀社へ依頼している可能性もあるため、あらかじめ確認しておいたほうが良いかもしれません。
3故人の搬送
葬儀社の遺体搬送車両で病院から自宅へ故人を搬送します。
4自宅にて故人の安置
自宅に搬送後は、通夜を行う部屋で故人を北枕で布団に寝かせます。
その際、ご遺体が痛むのを防ぐためにドライアイスをご遺体の下に敷きます。
5枕飾りの設置
枕飾りとは、お通夜がはじまるまでの間、故人の枕元に置く祭壇のことです。
「仮祭壇」ともいわれ、大きいものでも畳1畳程度のサイズ感があります。
故人の枕元に線香の支度を整え、宗派によっては一膳飯や団子の用意もする場合があります。
6納棺
納棺とは、通夜の前までに故人のご遺体を清め、あの世への旅立ちに向けた支度を行い、副葬品といわれる死後の世界で過ごすための品や思い出の品とともに棺に納める儀式のことをいいます。
納棺は一部の宗派を除き、故人に旅支度を整えて棺に納めます。
7祭壇などの設営
葬儀社が祭壇など、葬儀に必要な設営を行います。
一般参列者を予定している場合は、自宅周りに照明器具の設置や受付、会食の場所などを含めたテントの設営も行います。
8お通夜
自宅葬の場合でも、お通夜のやり方は葬儀場で行われる場合とそれほど変わりません。
ただし、自宅の規模によっては、通夜当日に大勢の参列者が訪れて対処できない事態になる可能性があります。
それらを想定し、あらかじめ時間を割り振るなど、通知者を決めておくと良いでしょう。
9葬儀・告別式
葬儀や告別式もお通夜と同様に、一般的な葬儀場の儀式とほとんど同じです。
お坊さんに読経をしてもらい、参列する人は焼香を行います。
お坊さんの退席後は、故人との最後のお別れを行う時間が設けられる場合が多いです。
10出棺
葬儀が終わり棺の蓋が閉じられて、棺を霊柩車まで運びます。
火葬場への出発のために、参列者全員でお見送りをするまでが出棺の儀式となります。
その際、棺を運ぶ動線に障害物などがないかをよく確認するようにしてください。
11火葬・骨上げ
火葬場へは親族だけでなく、故人と親しかった人なども同行することがあります。
火葬は1時間~1時間半程度の時間がかかり、火葬が終わったらお骨上げを行い、骨壺に納めます。
主な方法としては、「1つの骨を2人で拾い上げて納める方法」と「1人で拾い上げ、その骨をもう1人の人に箸で渡して納める方法」の2つです。
12遺骨安置
骨壺に納めた遺骨を自宅に持ち帰り、49日まで祭壇に安置します。
自宅葬をする際の注意点
自宅葬を行う場合、斎場のように環境が整えられていないため、注意しなければならない点が複数存在します。
広大な土地に家を構えている場合は別ですが、大抵は近隣に住んでいる方がいて、その方への配慮や駐車場の確保などを行う必要があります。
また、マンションやアパートといった集合住宅の場合は、同じ建物内で生活している方への配慮のほか、大家さんや管理人への確認事項など、さまざまなことに気をつけなければなりません。
ここでは、自宅葬における代表的な注意点を6つ解説します。
ご近所への配慮に注意
自宅葬を行う場合はご近所への配慮が必要不可欠です。
自宅に親族などや故人の知人が訪れるなどがあるため、人の出入りが多くなります。
また、焼香の臭いなどもご近所への影響を考える可能性があるため、影響を受けると考えられるご近所へ事前に対応しておく必要があります。
集合住宅の場合規約の確認をする
マンションやアパートなどの集合住宅には規約があり、場合によっては自宅葬が行えない可能性があります。
もし、住んでいる集合住宅が行えるところではなかった場合は、自宅葬の見直しを行う必要があります。
また、エレベーターがあるマンションなどの場合は、棺がエレベーターに入るかどうかも確認しておくことが大切です。
賃貸契約の場合家主に確認する
自宅葬をアパートやマンションといった賃貸契約している場所で行う場合は、あらかじめ大家さんに確認しておいたほうが良いでしょう。
家主によっては、今後の借主が変わる場合を考え、ご遺体が室内に入るのを嫌う人もいます。
家主の意向を無視して行ってしまうと、お互いの関係性に亀裂が入り、住みにくくなってしまう可能性があるため、許可なしで行うことはおすすめできません。
参考:https://question.realestate.yahoo.co.jp/knowledge/chiebukuro/detail/1251343317/
スペースが確保できるか確認する
自宅葬を行う場合は、ある程度のスペースが必要であり、弔問客が少ない場合でも最低6畳が2間以上ある部屋が理想的です。
ただし、葬儀社が間に入ってくれればある程度の間取りでも上手にプランを立ててくれる可能性があります。
準備や片付けの負担が大きいことを理解する
自宅葬の場合は、参列者へのお茶出しや、座る場所を確保して座布団の用意、靴を間違えないように注意を払うといった神経を使うため、労力が必要であり、喪主にとって負担が大きいです。
親族だけでまかなえれば良いのですが、人数が多い場合は手伝ってくれる方を手配する必要も発生します。
ひと昔前まではご近所の主婦が駆けつけて助け合うというような風習がありましたが、今ではほとんどが葬儀社任せになっているため、そういった風習がなくなりつつあります。
自宅葬の一番の問題は、喪主などの負担が大きくなることであり、その部分をしっかりと理解しておくことが肝心です。
駐車場の確認をする
葬儀に参列している方が「ほかの人の駐車場を利用している」「駐車禁止の場所に駐車している」「路上駐車をして通行の妨げになっている」などの問題が発生する場合があります。
そのような状況にならないためにも、あらかじめ駐車場を確保しておくことや、タクシーや公共交通機関の利用を促しておく必要があります。
葬儀社によっては送迎バスを出してくれるところもあるため、事前に確認しておくと良いでしょう。
まとめ
ここまで自宅葬の主な流れと気をつけるべき注意点について解説してきました。
自宅葬の場合、ご臨終から遺骨安置までの儀式がとても複雑であり、ご家族の方だけで全部をやるのは大きなストレスになってしまいます。
また、ご近所への配慮のほか、マンションやアパートであれば管理組合の規約、大家さんへの気遣いなど、さまざまな場面で気を使わなくてはなりません。
それらに合わせて、準備や片付けなどがあるため、喪主などにとっては負担が大きいといえます。
自宅葬であっても葬儀社を手配することができるため、自宅葬を考えている場合は、ぜひ葬儀社に相談してみてはいかがでしょうか。