お世話になった人や、身近だった人が亡くなった際に、事情があってどうしても葬儀や告別式への参列がかなわないときには、弔電を打つことで弔意を伝えることができます。
しかし弔電を送る機会はあまり多くないので、「どのように送れば良いのかわからない……。」という方は多くいるかと思います。
そこで今回の記事では「どこにどのように送れば良いのか」「いつ送るのが適切なのか」「弔電で使ってはいけない言葉や言い回し」などを解説していきますので、ぜひご参考にしてください。
弔電とは? 送るタイミングは?
弔電とは文字通り「弔意を伝える電報」です。
一昔前までは交通手段が限られており、どうしても葬儀に間に合わないことが多くありました。電話もそこまで普及しておらず、手紙も届くのに日数を要していた時代では、一番速い気持ちを伝える方法が電報だったのです。
弔電を送るタイミングですが、訃報を知ったらできるだけ早く送るようにしましょう。
しかし、弔電を送るのが早すぎても、斎場が受け取ってくれない場合があります。
そのため可能ならば通夜、告別式の日時を把握して、前日中に届くように手配するようにしましょう。
また、どうしても弔電がお通夜・葬儀当日に間に合わない場合は、送るのはやめておきましょう。
弔電を送らないことよりも、葬儀が終わったあとに届くほうが失礼とされているためです。
もし弔電が間に合わない場合は、後日弔問するか、弔電ではなくお手紙で「お悔やみ状」を送ることをおすすめします。
弔電はどのよう に申し込むの?
弔電の申し込み先は、電話会社や郵便局などさまざまですが、ここでは最も利用されているNTTグループの弔電の申し込み方法を紹介していきます。
NTTグループの弔電の申し込み方法には、電話での申し込みとインターネットでの申し込みの2種類があります。
電話での申し込み
電話の場合、8時~22時の間に「115(局番なし)」に電話をかけて弔電を送りたい旨をオペレーターに伝えましょう。
オペレーターに伝えることは以下の7つです
- 1.名前
- 2.今かけている電話の番号
- 3.配達日時
- 4.届け先の住所と電話番号
- 5.受取人(喪主)の名前
- 6.弔電にのせる文章
- 7.弔電の台紙の金額(500円~2万円程度)
これらのオペレーターからの質問に答えることで、弔電が完成します。
ただ1点、注意しておきたいのは「漢字」です。
口頭でのやり取りになりますので社名、人名の漢字は間違いのないよう伝えましょう。
また、それらの料金の支払い方法は、電話料金とまとめて支払い、クレジットカード払い、ドコモ携帯払いから選ぶことが可能です。
インターネットでの申し込み
インターネットの場合、専用サイトから必要事項を入力していくことで24時間簡単に申し込みができます。
また、台紙のデザインなども目で確認できますので、余裕がある場合はネットで申し込みをおすすめします。
また、支払い方法は電話でのお申し込みと同じく、電話料金とまとめて支払い、クレジットカード払い、ドコモ携帯払いが可能です。
ただスマホサイトからの場合は、電話料金とまとめて支払うことができないのでご注意ください。
弔電を送る前に 知っておきたいこと
弔電を送る際に、注意が必要なことは以下の三つです。
- ●故人の呼び名(敬称)
- ●使ってはいけない言葉(忌み言葉、重ね言葉など)
- ●内容(文面)
それぞれ詳しく解説していきましょう。
故人の呼び名
弔電を送る際には、亡くなった方が喪主にとってどの立場に当たるのか、確認してから送る必要があります。
また、普段あまり気にすることがありませんが、父母の兄・姉が「伯父・伯母」に当たり、父母の弟・妹が「叔父・叔母」に当たることも覚えておきましょう。
【喪主の関係】
・敬称
●父
・ご尊父様(ごそんぷさま)
●母
・ご母堂様(ごぼどうさま)
●夫
・ご主人様(ごしゅじんさま)
●妻
・ご令室様(ごれいしつさま)
●兄
・ご令兄様(ごれいけいさま)
●弟
・ご令弟様(ごれいていさま)
●姉
・ご令姉様(ごれいしさま)
●妹
・ご令妹様(ごれいまいさま)
●息子
・ご令息様(ごれいそくさま)
●娘
・ご令嬢様(ごれいじょうさま)
●祖父
・ご祖父様(ごそふさま)
●祖母
・ご祖母様(ごそぼさま)
●伯父
・伯父様(おじさま)
●祖父
・叔父様(おじさま)
●祖母
・伯母様(おばさま)
●祖母
・叔母様(おばさま)
使ってはいけない言葉
弔電は文字だけで気持ちを伝えるものなので、使う言葉には注意が必要です。
「忌み言葉」と呼ばれる、人の生き死にに直結するような言葉や、不幸を連想させる言葉は避けるようにしましょう。
例
●死ぬ
●生きる
●苦しむ
●浮かばれない
など
また、「たびたび」や「ますます」などといった「重ね言葉」も不幸が続くイメージがあるので使用は避けましょう。
言葉の意味だけでなく、四(し)や、九(く)など音が不吉な言葉も使わないほうがいいです。
弔電は葬儀の場で読み上げることが前提になりますので、そんなつもりはなくても聞いた方からは誤解されてしまう場合もあります。
電報は一度出してしまうと後日訂正ができませんので、使ってはいけない言葉が入っていないかよく確認してから送るようにしましょう。
文面
上記を踏まえていざ文面を書こうと思っても、普段から冠婚葬祭に携わってない人からしたら、一から文面を考えることはとても困難なことかと思います。
ましてや人の死は突然やってくるものなので、頭の整理がついていないまま弔電を書くのは大変難しいことです。
そのためNTTでは弔電の文面のテンプレートを複数用意しています。
【文例番号】
ご尊父様のご逝去を、心よりお悔やみ申しあげます。在りし日のお
姿を偲びつつ、ご冥福をお祈りいたします。
ご尊父様のご逝去の報に接し、謹んでお悔やみ申しあげますととも
に、心からご冥福をお祈りいたします。
(参照:
NTTインターネット電報D-MAIL|文例一覧)
複数あるテンプレートの中から文例を選び、申し込みの際に文例番号を伝えることで、その文例を送ることができます。
「弔電で誰かが作った文章を送るなんて少しさみしい……」と感じる方もいらっしゃるかと思います。
しかし、電報は急な事情で弔問できない場合の最終手段です。
そのため、あまりに凝り過ぎた文面よりも、「弔意を伝える」という文面であったほうがより良いとされています。
ただ、テンプレートを利用する場合には一つだけ注意点があります。
それは、葬儀が仏式ではない場合です。
現在日本のお葬式の9割近くは仏式と言われています。
そのため、弔電のテンプレートには仏式用のものが多く用意されています。
しかし、ほかの宗教では、そのテンプレートで使われている言葉の概念が、存在しない場合があるのです。
たとえば、仏式でよく使われる「ご冥福」はキリスト教にはない概念です。
葬儀が仏式ではないことがわかっていた場合は、その宗教にあったテンプレートを利用するようにしましょう。
まとめ
弔電を送るとき、もう一つだけ、覚えておきたいことがあります。
弔電は故人に送る言葉ではなく、残された家族に送る言葉です。
また、特に親しい相手の場合には、弔電を送ったあとに香典も送るようにしましょう。