一般的な葬儀の形式は一日目にお通夜を行い、二日目に告別式と火葬を行うというものですが、お通夜を行わないという形式も近年は増加しています。これを一日葬と呼びますが、一日葬にすることで、どのようなメリットがあるのでしょうか。この記事では、一日葬についてまとめています。
お葬式といえば、昔はたくさんの人が集まり行われるものでした。しかし近年は、さまざまな葬儀のスタイルがつくられており、身内だけで行われる家族葬や、火葬だけ行う火葬式、お通夜を行わない一日葬などがあります。ここでは、一日葬の流れやメリット、デメリット、注意しなければならないことなどを詳しくご紹介します。
一日葬とは?
一日葬は、お通夜を行わないで告別式と火葬だけを行うもので、一日で終わる葬儀のことをいいます。家族葬の場合は、参列者が身内のみという制限がありますが、一日葬はそのような制限はないため、親族以外も参列ができます。
一日葬が行われる時間帯は主に正午ごろとなっており、日中に葬儀を行ってから火葬という流れになります。
一日葬は、葬儀の費用をできるだけ抑えたプランにしたいという場合に選ばれることが多くなっています。また、2020年、2021年度は新型コロナウィルスの感染拡大から、感染症対策として葬儀の時間を短くするために一日葬を選ばれるケースも増えたとされています。
一日葬の流れ
一日葬はどのような流れで行われるのでしょうか。一日葬の簡単な流れについてご紹介します。亡くなられた故人を搬送し、安置した後、打ち合わせを行いお通夜という流れが通常ですが、このお通夜をせずに告別式となるのが一日葬です。
告別式の後は、火葬、初七日法要、精進落しとなり、通常二日に分けて行われる内容と変わりません。一日で行われることから、遠方から来られる親戚の方も日帰りで参列しやすくなります。
葬儀、告別式にかかる時間はおおよそ一時間です。その後、火葬で2時間程度かかります。
火葬後に会食などがある場合は、さらに会食時間がプラスされます。
一日葬のメリット
一日葬を選ぶことで、どのようなメリットがあるのでしょうか。一日葬のメリットについてまとめておきます。
費用を抑えることができる
一日葬のメリットとして、費用を抑えることができるという点が挙げられます。一般的な葬儀の場合、葬儀費用が1,500,000万ほどで、飲食代や返礼費なども含めると、2,300,000円前後かかります。家族葬の場合は、葬儀費用は1,000,000円ほど、飲食代や返礼費などを含めると1,400,000万ほどです。これに対して、一日葬の場合は、葬儀費用は900,000ほど、飲食代や返礼費を含めると1,300,000円ほどとなります。
依頼する葬儀会社によって費用は多少異なるものの、費用を抑えることができるといえます。家族葬の場合は身内だけの葬儀となってしまいますが、「もう少したくさんの人に参列してほしいが費用を抑えたい」という場合には、一日葬が選ばれることが多いです。
通夜、葬式を一日で終わらせることができる
一日葬の場合、お通夜と葬式を一日で終わらせることができます。通夜を行わず葬儀のみとなりますが、告別式だけになるため大掛かりな準備も不要となり、大切な故人とのお別れの時間を十分に取ることができるというメリットがあります。
お通夜を行う場合、お別れの時間をゆっくりと取りたいと思っても、準備で慌ただしくなってしまいがちです。しかし、一日葬は、お通夜がないことで、お通夜の準備時間を故人とのお別れの時間にあてることができるのです。
遺族や親族、参列者の負担が軽減される
告別式には、遺族や親族など、さまざまな参列者が足を運んでくれます。特に親戚の場合は、遠方から足を運んでくれる方も多いでしょう。
その場合、お通夜と告別式に参列するとなると、日帰りできない場合もあります。宿泊してもらうことになり、宿の手配も大変です。一日葬にすることで、遠方の方は日帰りで参列しやすくなることから、負担も軽減できるといえるでしょう。
一日葬のデメリット
一日葬はメリットもありますが、デメリットもあります。一日葬ではどのようなデメリットがあるのでしょうか。ここでは、一日葬のメリットとデメリットを紹介します。
一日しかないので都合がつかず参列できない人が出る可能性がある
通常の葬儀ではお通夜と告別式があるため、どちらに参列するか選ぶことができ、予定を調整してもらえることが多いのです。
「お通夜には参列できるが、告別式に参列できない」「お通夜に参列できないけれど、告別式には参列できる」というように、どちらかだけ参列してもらうことができます。しかし、一日葬にしてしまった場合は、都合が合わない場合に参列してもらうことが難しくなってしまいます。また、一日葬は平日の昼間に行われる場合、仕事をしている人はなかなか参列できないということが多いでしょう。そうなってしまうと、思っていたよりも参列者が少ないという可能性もあります。
参列者の選別が難しい
一日葬では、家族葬のように参列者を限定する必要はありません。しかし、会場の広さや葬儀にかけることができる費用などを踏まえると、どうしても参列者を選別しなければならないということもあるでしょう。そのような場合に、選別が難しくなってしまいがちです。家族葬の場合は、親族だけで行うというように明確に分けることができますが、一般の方も参列してもらえる一日葬だと、余計悩んでしまうところでしょう。故人と関りが深い方には、できるだけ参列してほしいですよね。
二日分の費用がかかる場合がある
一日葬は費用を抑えることができるといわれていますが、葬儀会社選びを間違えてしまうと、高くなってしまうこともあります。
たとえば、一日葬でも告別式の前日からご遺体を安置する場合は、会場の費用は二日分発生してしまいます。事前に葬儀会社に相談し、一日分の会場費にできるかどうか話してみることをおすすめします。一日分の会場費にならない場合は、家族葬などと変わらない葬儀費用になってしまうことが多いでしょう。
一日葬の注意点
一日葬を行う際には、注意しなければならないことがあります。新しい葬儀スタイルの一日葬は、受け入れてもらいにくいというデメリットがあります。
ここでは一日葬の注意点を紹介します。下記のような点に注意して一日葬を選ぶかどうか決めるようにしましょう。
周囲に理解されにくい
一日葬は、新しい葬儀スタイルになっているので、宗教的な流れを重視されている人には理解されにくいという点があります。日本で行われているお葬式は、無宗教でも寺院から僧侶やお坊さんに来てもらい、お経を読み上げてもらうという仏教式になっています。
仏教式のお葬式では、お通夜と告別式が行われることが決められているので、新しいスタイルを取り入れると理解されにくい場合があります。
家族や親戚と、しっかり話し合わないで一日葬を行うと、後でもめてしまうことにもなりかねませんので、一日葬を検討している場合は、事前に家族や親戚とよく話し合いをしてから決めるようにしましょう。
納骨を断られる可能性も
一日葬では、納骨を断られてしまうという可能性があります。通常の葬儀とは流れが異なるので、事前に菩提寺に相談しておくようにしましょう。
お付き合いしているお寺によっては、一日葬の供養もお断りされるケースもあるといわれています。そうなってしまった場合、葬儀の際に来てもらう僧侶やお坊さんも探さなければいけません。また、僧侶やお坊さんがお付き合いのあるお寺ではない場合は、納骨を断られてしまう可能性が高くなるので事前にしっかり話し合いしましょう。
香典を辞退する人が多い
一日葬の場合、新しい葬儀スタイルとなっていることから、香典を辞退する人が多くいます。参列者の方は、一日葬であっても香典を用意します。
また、葬儀案内に、あらかじめ香典辞退を記載されていることが多く、香典を辞退するケースが多いといえます。しかし、一日葬も通常のお葬式と同じです。
そのため、供物や香典を受け取ることはマナー違反ではありませんので、辞退しなければならないものではないということを覚えておきましょう。また、辞退する場合は事前にお伝えしておくようにすることがマナーです。
まとめ
近年、新しい葬儀スタイルとして注目されている一日葬についてお伝えしました。
一日葬は家族や親族の負担を減らすことができ、参列者も参加しやすくなるなどメリットがある一方、新しい葬儀スタイルでなかなか理解を得にくいというようなデメリットもあることが分かったと思います。
新しい葬儀スタイルではありますが、一日葬でも、香典や供物をいただいても問題がありません。近年では、香典や供物を辞退する家族が増えていることもあり、一日葬では、香典の辞退を考える人も多いようですが、辞退する場合は、事前に葬儀の案内をする際にしっかり伝えておくのがマナーです。一日葬を検討されているという方は、ぜひこの記事を参考にしてみてくださいね。